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増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点 8 角膜
結膜弛緩症手術
著者: 横川英明1 小林顕1
所属機関: 1金沢大学附属病院眼科
ページ範囲:P.146 - P.148
文献購入ページに移動結膜弛緩症(conjunctivochalasis)とは,球結膜がたるんだ状態であり,たるんだ結膜が下眼瞼縁に乗って認められる(図1a,b)。結膜弛緩症の詳細な原因は不明であるが,結膜の加齢変化や機械的な摩擦,炎症,涙液の不安定性などが関与すると考えられている1)。フルオレセイン染色下で観察すると,軽度の弛緩症でも指摘可能であり,随伴する涙液メニスカスの障害や角結膜上皮障害の有無も判定可能である。結膜弛緩症の大部分は無症状であるが,眼不快感(異物感,流涙,反復する結膜出血など)を生じることがある。また,結膜弛緩症に涙液減少型ドライアイやMeibom腺機能不全などの他の眼表面疾患を合併している場合がある。
結膜弛緩症が原因で眼不快感が生じている場合に治療対象となる。治療の第一選択は薬物療法であり,ドライアイ点眼や低濃度ステロイド点眼などが使用される。眼外にこぼれ出るような重症の結膜弛緩症で,薬物で自覚症状の改善が不十分な場合に手術が行われる。手術の目的は,余剰な結膜(たるみ)を減少させることでスムーズな球結膜面を再建し,涙液メニスカスを修復して自覚症状の改善を図ることである。外科的治療として,焼灼法と切除縫合法が多く行われている。
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