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増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点 10 白内障
眼内レンズ縫着術
著者: 市川浩平1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属静岡病院眼科
ページ範囲:P.186 - P.188
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眼内レンズ(IOL)縫着術は,種々の理由によりIOLを固定するための囊が存在しない症例に対し,縫着糸を用いてIOL支持部を主に毛様溝に固定する術式である。適応として,術後無水晶体眼やZinn小帯脆弱による水晶体亜脱臼・脱臼例,IOL亜脱臼・脱臼例,白内障術中の後囊破損例などがある。
縫着術の問題点として,一般の白内障手術と異なり,IOL偏位・傾斜,硝子体出血,虹彩捕獲,囊胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema:CME),網膜剝離,感染性眼内炎などの合併症を発症しやすいこと,IOL固定位置が通常の囊内固定と異なるために挿入IOL度数の補正が必要であること1),初回手術の影響により術前に角膜内皮細胞密度が著明に減少している症例を少なからず認めること,縫着術に適したIOLを使用する必要があること2)などがある。特に術後に発症する合併症のために術後矯正視力が術前矯正視力よりも低下する可能性があるため,術前に患者に合併症のリスクについて十分に説明を行っておく必要がある。水晶体やIOLの偏位・落下の手術説明においては,スリット写真や眼底写真を用いて行うと患者も理解しやすい。
眼内レンズ(IOL)縫着術は,種々の理由によりIOLを固定するための囊が存在しない症例に対し,縫着糸を用いてIOL支持部を主に毛様溝に固定する術式である。適応として,術後無水晶体眼やZinn小帯脆弱による水晶体亜脱臼・脱臼例,IOL亜脱臼・脱臼例,白内障術中の後囊破損例などがある。
縫着術の問題点として,一般の白内障手術と異なり,IOL偏位・傾斜,硝子体出血,虹彩捕獲,囊胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema:CME),網膜剝離,感染性眼内炎などの合併症を発症しやすいこと,IOL固定位置が通常の囊内固定と異なるために挿入IOL度数の補正が必要であること1),初回手術の影響により術前に角膜内皮細胞密度が著明に減少している症例を少なからず認めること,縫着術に適したIOLを使用する必要があること2)などがある。特に術後に発症する合併症のために術後矯正視力が術前矯正視力よりも低下する可能性があるため,術前に患者に合併症のリスクについて十分に説明を行っておく必要がある。水晶体やIOLの偏位・落下の手術説明においては,スリット写真や眼底写真を用いて行うと患者も理解しやすい。
参考文献
1)Suto C et al:J Cataract Refract Surg 29:1913-1917, 2003
2)松﨑有修・他:臨眼70:68-77,2016
3)井上 康・他:眼科46:1899-1903,2004
4)Jurgens I et al:J Cataract Refract Surg 41:14-17, 2015
5)Kumar DA et al:J Cataract Refract Surg 43:1307-1312, 2017
6)Szurman P et al:Br J Ophthalmol 94:167-169, 2010
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