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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻11号

2020年10月発行

文献概要

増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点 11 緑内障

トラベクロトミー眼外法/マイクロフックトラベクロトミー

著者: 髙井保幸1

所属機関: 1島根大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.206 - P.209

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手術・治療の概要

 わが国では,眼圧下降を図る代表的な手術方法として,濾過手術と流出路再建術が行われてきた。トラベクロトミーは線維柱帯・Schlemm管内壁を切開することで,房水流出抵抗を減少させ,眼圧下降を期待する手術で,古くから施行されてきた流出路再建術である。濾過手術と比較し,眼圧下降効果は劣るが,濾過胞を形成しないため,濾過胞に関連する合併症(感染や漏出),過剰濾過による浅前房,低眼圧黄斑症,脈絡膜剝離などの視力に影響を及ぼす合併症が少ない。

 これまでのメタルプローブ(トラべクロトーム)を使用したトラベクロトミーの術式は,いずれも眼外法で結膜と強膜を切開する必要があった。近年の流出路再建術は,将来の濾過手術のための結膜温存の観点や,一般的に眼外法に比較し手術難度が低いことから,さまざまなデバイス(ナイロン糸,トラベクトーム,マイクロフック,Kahookデュアルブレードなど)を使用して眼内から線維柱帯・Schlemm管内壁を切開・除去する眼内法に移行しつつある。マイクロフックトラベクロトミーの利点は,隅角鏡を通して直視下に線維柱帯・Schlemm管内壁を切開することができるため,確実性と安全性が高いことや結膜,強膜を温存でき,低侵襲に加え,白内障手術と同時に短時間で簡便に施行できることである。

参考文献

1)Tanito M et al:Acta Ophthalmol 95:e354-e360, 2017
2)Tanito M et al:Am J Ophthalmol 134:513-520, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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