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臨床報告
鈍的外傷で剝離した角膜深層側実質に感染病巣を認めた1例
著者: 山藤香子1 芳原直也1 尾辻太2 坂本泰二1
所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科感覚器病学眼科学 2独立行政法人国立病院機構 指宿医療センター眼科
ページ範囲:P.1427 - P.1432
文献購入ページに移動目的:鈍的外傷で広範囲に剝離した角膜の深層側実質に,感染病巣を認めた1例を経験したので報告する。
症例と所見:症例は77歳,男性。20XX年3月,自宅で作業中にペンチが眼に飛んできて右眼眼球を打撲し,近医で経過観察されていたが所見の改善はなく,5日後に鹿児島大学病院へ紹介され初診となった。初診時右眼視力(0.05)で,角膜の上方約半分に実質深層まで及ぶ角膜実質の剝離を認めた。明らかな穿孔はなかったが,剝離した角膜深層側実質に浸潤病巣を認め,前房蓄膿を伴う前房内炎症も認めた。剝離した角膜の上皮には明らかな欠損は認めなかった。原因菌同定には至らず,前医から開始されていたセフメノキシム点眼およびレボフロキサシン点眼の頻回点眼と剝離した角膜深層側実質の洗浄を数回行ったが,改善は乏しかった。30日後,剝離した角膜深層側実質の浸潤病巣を広範囲に可能な限り搔爬し,洗浄した。その後の検鏡でグラム陽性球菌が確認でき,治療を継続したところ,感染は次第に終息し,最終的に右眼視力(0.6)まで改善した。
結論:本症例のように剝離した角膜の深層側実質に感染病巣がある場合,積極的な病巣の搔爬が有用である可能性が示された。
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