icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻12号

2020年11月発行

文献概要

臨床報告

硝子体内鉄片異物を経前房的に摘出した3例

著者: 長谷川綾華1 清水啓史1 野田航介1 廣岡季里子1 柴田有紀子1 石田晋1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院眼科学教室

ページ範囲:P.1449 - P.1454

文献購入ページに移動
要約 目的:硝子体内鉄片異物に対して,術前に画像検査を用いてその径を計測し,強角膜創から経前房的に摘出した3症例を経験したので報告する。

症例:症例は43〜74歳。全例男性で,左眼球内に鉄片が飛入して受傷していた。症例1と2は前医受診時に結膜裂創は確認されないものの硝子体出血を認めており,その後に硝子体出血が吸収されてから眼球内の鉄片が確認されて当科へ紹介となった。症例3は受傷同日に結膜裂創と眼内組織の脱出に対して前医で強膜縫合術が施行されたが,網膜剝離が疑われたため受傷3日後に当科へ紹介となった。

所見:受傷眼の初診時矯正視力は,症例1は0.4,症例2は1.2,症例3は手動弁。鉄片サイズは光干渉断層計を用いて計測した症例1と2では約2×2mm,CTを用いた症例3では長径が約10mmであった。3症例とも経毛様体扁平部硝子体切除術を施行し,水晶体再建術を併施した。症例1と2は水晶体再建術で作成した強角膜切開創,症例3は鉄片サイズが大きかったため作成したフラウン切開創(8mm)を使用して,計画的後囊切開部から経前房的に鉄片を摘出した。術後矯正視力は,0.8〜1.2と良好であった。

結論:眼内鉄片異物症例に対して,異物の大きさを術前に計測して適切な強角膜創を作成することで低侵襲な眼内鉄片摘出が可能であった。

参考文献

1)樋口桂子・西田保裕・佐々本研二・他:眼内異物摘出術における経強膜法と経硝子体法の比較.眼科手術7:349-351,1994
2)Kiss S, Vavvas D:25-gauge transconjunctival sutureless pars plana vitrectomy for the removal of retained lens fragments and intraocular foreign bodies. Retina 28:1346-1351, 2008
3)山根 真:眼内異物.OCULISTA 56:31-36,2017
4)Santosh KM, Nageswar GR:Visual outcome of pars plana vitrectomy with intraocular foreign body removal through sclerocorneal tunnel and sulcus-fixated intraocular lens implantation as a single procedure, in cases of metallic intraocular foreign body with traumatic cataract. Indian J Ophthalmol 58:115-118, 2010
5)田澤 豊・加藤宗彦・長谷川豊・他:IOL挿入用の強角膜創から摘出した大きな眼内鉄片異物.IOL & RS 9:110-114,1995
6)Jesus HG, Yunuen BR, Jesus EG et al:Minimally invasive surgery for the removal of posterior intraocular foreign bodies. J Ophthalmic Vis Res 12:236-240, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?