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臨床報告
硝子体内鉄片異物を経前房的に摘出した3例
著者: 長谷川綾華1 清水啓史1 野田航介1 廣岡季里子1 柴田有紀子1 石田晋1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院眼科学教室
ページ範囲:P.1449 - P.1454
文献購入ページに移動症例:症例は43〜74歳。全例男性で,左眼球内に鉄片が飛入して受傷していた。症例1と2は前医受診時に結膜裂創は確認されないものの硝子体出血を認めており,その後に硝子体出血が吸収されてから眼球内の鉄片が確認されて当科へ紹介となった。症例3は受傷同日に結膜裂創と眼内組織の脱出に対して前医で強膜縫合術が施行されたが,網膜剝離が疑われたため受傷3日後に当科へ紹介となった。
所見:受傷眼の初診時矯正視力は,症例1は0.4,症例2は1.2,症例3は手動弁。鉄片サイズは光干渉断層計を用いて計測した症例1と2では約2×2mm,CTを用いた症例3では長径が約10mmであった。3症例とも経毛様体扁平部硝子体切除術を施行し,水晶体再建術を併施した。症例1と2は水晶体再建術で作成した強角膜切開創,症例3は鉄片サイズが大きかったため作成したフラウン切開創(8mm)を使用して,計画的後囊切開部から経前房的に鉄片を摘出した。術後矯正視力は,0.8〜1.2と良好であった。
結論:眼内鉄片異物症例に対して,異物の大きさを術前に計測して適切な強角膜創を作成することで低侵襲な眼内鉄片摘出が可能であった。
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