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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
サイトメガロウイルスによるChronic Retinal Necrosisの3例
著者: 張本亮1 田中理恵1 蕪城俊克2 伊沢英知1 中原久恵1 川島秀俊3 相原一1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院眼科 2自治医科大学さいたま医療センター眼科 3自治医科大学附属病院眼科
ページ範囲:P.309 - P.315
文献購入ページに移動対象と方法:2012年3月〜2015年12月に東京大学医学部附属病院眼科ぶどう膜炎外来を受診したCRN患者3例の臨床像を後ろ向きに検討した。
結果:症例は65歳女性,66歳女性,67歳男性で,2例は片眼性,1例は両眼性であった。経過観察期間はそれぞれ47か月,15か月,66か月であった。免疫不全因子は免疫抑制薬内服中1例,糖尿病1例であった。HIV感染例は認めなかった。全例前房水PCR検査でサイトメガロウイルスDNAが陽性であった。全例に白色小型角膜後面沈着物,硝子体混濁,網膜動脈白鞘化,網膜動静脈炎,網膜出血を認めた。網膜滲出斑は2例に認めた。治療としてガンシクロビル硝子体注射(3例),バルガンシクロビル内服(2例)などの抗ウイルス療法を施行した。全例に網膜無灌流領域を認め,1例に網膜光凝固を施行した。最終観察時の矯正視力は全例1.0以上であった。
結論:CRNの3例を経験した。抗ウイルス療法を終了するまで長期間要する症例もあったが,視力予後は良好であった。ウイルス性を疑う閉塞性網膜血管炎に対しては,治療最初期に眼内液PCR検査とぶどう膜炎精査を施行したうえで適切な抗ウイルス治療を行う必要がある。CRN患者に対しては,抗ウイルス療法だけではなく,網膜無灌流領域の確認と治療を行い,新生血管発生の予防に努めなければならない。
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