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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻4号

2020年04月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

眼サルコイドーシスにおける採血データを用いた階層型クラスター解析

著者: 松島亮介1 臼井嘉彦1 清水広之1 坪田欣也1 後藤浩1

所属機関: 1東京医科大学臨床医学系眼科学分野

ページ範囲:P.445 - P.450

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要約 目的:眼サルコイドーシスと診断された患者の採血データを用いたクラスター解析を行い,患者集団を細分化し臨床像と比較すること。

対象と方法:過去50か月間に東京医科大学病院眼科で診断された眼サルコイドーシス患者36例を対象とした。初診時の採血データから,CH50,C反応性蛋白質(CRP),血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R),アンギオテンシン転換酵素(ACE)の値を用いてクラスター解析を行った。

結果:クラスター解析により患者集団は5群,すなわち,①CH50,CRP,sIL-2R,ACE高値群,②ACEのみ高値群,③CH50のみ高値群,④分類不能群,⑤基準値群に分類できた初診時視力,最終視力,眼圧,ステロイド内服の有無,手術の有無,黄斑浮腫の有無,硝子体混濁の有無,両側肺門縦隔リンパ節腫脹(BHL)の有無の比較検討で,5群間でBHLの有無の割合に有意な差があった。BHLの有無で2群に分け,採血項目との関係についての解析で,血清sIL-2R濃度と血清ACE濃度がBHLの有無と有意に関係していた。sIL-2R>838U/ml,またはACE>18.6IU/l/37℃の場合はBHLが存在する確率が高かった。

結論:採血データに基づいた階層型クラスター解析により,眼サルコイドーシスを分類することができた。本解析により,全身病であるサルコイドーシスの眼外症状,特にBHLの有無を予測できる可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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