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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻4号

2020年04月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

補償光学眼底カメラを用いた線維柱帯構造の正常眼と緑内障眼での違いの検討

著者: 森茂1 吉富文昭2 斉藤民也3

所属機関: 1森眼科内科医院 2大宰府吉富眼科 3おおのはら眼科

ページ範囲:P.451 - P.458

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要約 目的:補償光学眼底カメラを使用し,非緑内障眼と緑内障眼における線維柱帯の表面微細構造の違いを明らかにする。

対象と方法:対象は非緑内障6例12眼(52.2±21.6歳)と緑内障眼6例12眼(60.0±26.0歳)である。補償光学眼底カメラに前眼部光干渉断層計(OCT)用のアダプターを装着して線維柱帯を含む隅角部を前房側から撮影した。得られた画像を,線維柱帯表面の凸凹の程度を変動係数として定量化した。目的変数に線維柱帯の変動係数,説明変数には緑内障の有無,年齢,性別,眼内レンズ挿入の有無,眼圧,MD値,落屑症候群の有無の7因子を選択し,重回帰分析を行った。

結果:若年の非緑内障眼での線維柱帯表面は凸凹ひも状を呈し,高齢の緑内障眼での線維柱帯表面はほぼ平坦化する傾向を示した。高齢の非緑内障眼および若年の緑内障眼ではこれらの中間型を示した。線維柱帯の所見を定量化した変動係数は,若年非緑内障眼(凹凸ひも状)で高値,高齢緑内障眼(平板状)で低値を示した。重回帰分析では,緑内障眼(p<0.01)および年齢(p<0.01)が線維柱帯表面の凹凸度を有意に低下させる因子であることが示された。他の因子では有意差はなかった。

結論:補償光学眼底カメラに前眼部OCT用アダプターを組み合わせることにより,生体眼での隅角線維柱帯の微細表面構造を捉えることができた。緑内障では線維柱帯のメッシュワーク構造が破綻し,加齢変化と類似の病態をきたしている可能性がある。

参考文献

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2)田原昭彦:房水の線維柱帯流出路—構造と薬物作用について.眼科プラクティス4:82-84,2001
3)Maepea O, Bill A:Pressures in the juxtacanalicular tissue and Schlemm`s canal in monkeys. Exp Eye Res 54:879-883, 1992
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5)Rohen JW et al:Electron microscopic studies on the trabecular meshwork in two cases of corticosteroid-glaucoma. Exp Eye Res 17:19-31, 1973
6)石龍鉄樹:補償光学網膜イメージングカメラRTX1(Imagine Eyes).眼科59:423-430,2017
7)Abramoff MD, Magelhaes PJ:Image processing with image. J. Biophotonics International 11:36-42, 2004
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9)Tectas O-Y, Lütijen-Drecoll E:Structural changes of the trabecular meshwork in different kinds of glaucoma. Exp Eye Res 88:769-775, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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