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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
光干渉断層計とハンフリー視野により頭蓋内疾患が疑われた運動麻痺を伴う髄膜腫の1例
著者: 明尾潔12 明尾庸子1 明尾慶一郎1 加藤帝子1 山本崇裕3
所属機関: 1あけお眼科医院 2慶應義塾大学医学部眼科学教室 3東京都保健医療公社豊島病院脳神経外科
ページ範囲:P.459 - P.468
文献購入ページに移動症例:患者は70歳,女性。両眼視力低下を主訴として2004年8月当院を受診した。
所見と経過:初診時には眼圧はノンコンタクトトノメーターで右14mmHg,左13mmHgであった。両眼の核性白内障を認める以外,両眼とも前眼部,眼底に異常はなく,2004年10月矯正視力(以下,視力)は両眼0.8,2013年1月のHFAでは平均偏差(MD)値右眼−3.33dB左眼−2.46dBであった。視力は両眼1.0であり,現在まで視力と眼圧には著変がなかった。2018年2月頃よりふらつき感が出現し,同年3月乳頭マップにより,網膜の菲薄化と網膜視神経線維束(RNFL)欠損が認められた。同年4月,運動麻痺が出現し,HFAにてMD右−10.26dB左−8.7dB,左同名上1/4盲様の視野欠損が検出された。MRIにて右側頭葉の腫瘍と広範囲な浮腫があり,脳神経外科にて腫瘍摘出術を行い,病理診断の結果,髄膜腫であった。その後,歩行障害は改善し,同年6月に同院を退院した。2019年2月HFAによるMDは,右−1.75dB左−2.85dBと両眼とも上方に視野欠損を認めるものの,著明に改善した。
結論:RNFL欠損の検出と網膜厚の測定を目的とするOCT検査も頭蓋内視路疾患の存在診断のために有用であると思われた。
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