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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻4号

2020年04月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

光干渉断層計とハンフリー視野により頭蓋内疾患が疑われた運動麻痺を伴う髄膜腫の1例

著者: 明尾潔12 明尾庸子1 明尾慶一郎1 加藤帝子1 山本崇裕3

所属機関: 1あけお眼科医院 2慶應義塾大学医学部眼科学教室 3東京都保健医療公社豊島病院脳神経外科

ページ範囲:P.459 - P.468

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要約 目的:光干渉断層計(OCT)とハンフリー視野(HFA)により頭蓋内疾患が疑われた運動麻痺を伴う髄膜腫の臨床経過の報告。

症例:患者は70歳,女性。両眼視力低下を主訴として2004年8月当院を受診した。

所見と経過:初診時には眼圧はノンコンタクトトノメーターで右14mmHg,左13mmHgであった。両眼の核性白内障を認める以外,両眼とも前眼部,眼底に異常はなく,2004年10月矯正視力(以下,視力)は両眼0.8,2013年1月のHFAでは平均偏差(MD)値右眼−3.33dB左眼−2.46dBであった。視力は両眼1.0であり,現在まで視力と眼圧には著変がなかった。2018年2月頃よりふらつき感が出現し,同年3月乳頭マップにより,網膜の菲薄化と網膜視神経線維束(RNFL)欠損が認められた。同年4月,運動麻痺が出現し,HFAにてMD右−10.26dB左−8.7dB,左同名上1/4盲様の視野欠損が検出された。MRIにて右側頭葉の腫瘍と広範囲な浮腫があり,脳神経外科にて腫瘍摘出術を行い,病理診断の結果,髄膜腫であった。その後,歩行障害は改善し,同年6月に同院を退院した。2019年2月HFAによるMDは,右−1.75dB左−2.85dBと両眼とも上方に視野欠損を認めるものの,著明に改善した。

結論:RNFL欠損の検出と網膜厚の測定を目的とするOCT検査も頭蓋内視路疾患の存在診断のために有用であると思われた。

参考文献

1)甲村英二・黒岩敏彦・阿部琢巳・他:髄膜腫;脳腫瘍,脳神経外科疾患情報ページ,日本脳神経外科学会,日本脳神経外科コングレス,2014
2)Loo JL, Tian J, Miller NR et al:Use of optical coherence tomography in predicting post-treatment visual outcome in anterior visual pathway meningiomas. Br J Ophthalmol 97:1455-1458, 2013
3)明尾 潔・明尾庸子・明尾慶一郎・他:あけお眼科医院における光干渉断層計導入に伴う電子カルテシステムの再構築.臨眼73:1341-1347,2019
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6)Sommer A, Miller NR, Pollack I et al:The nerve fiber layer in the diagnosis of glaucoma. Arch Ophthalmol 95:2149-2156, 1977
7)Charpentier P, Mouriaux F:Total recovery of optic nerve sheath meningioma. BMJ Case Rep:bcr2016215532. Published online 2016 Oct 21.
8)山下 力:撮影のコツ—測定に及ぼす影響とマップの読み方—第55回日本視能矯正学会シンポジウム.日本視能訓練士協会誌44:19-27,2015
9)金森章泰:後極部OCT;視神経.日本視能訓練士協会誌44:17-18,2015
10)中村 誠:視神経におけるOCTの有用性と注意点を教えてください.飯田知弘:専門医のための眼科診療クオリファイ.眼底OCTのすべて.230-234.中山書店,東京,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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