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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
新しい計算式Hill-RBF式と他計算式との白内障術後屈折誤差精度の検討
著者: 都村豊弘1 島崎武児2 田村彩1 曽我部由香1
所属機関: 1三豊総合病院眼科 2香川大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.469 - P.477
文献購入ページに移動対象と方法:対象は2018年10月〜2019年7月に当診療所で白内障手術を施行した87例150眼。IOLはNS-60YG(SZ-1:NIDEK社)を使用した。角膜曲率半径,眼軸長測定と前房深度などの生体計測はIOL Master® 500(Carl Zeiss Meditec社)で測定。A定数はUser Group for Laser Interference Biometry(ULIB)のWebサイト値(119.5)を用い,Hill-RBF式(H群),SRK/T式(S群),Barett Universal Ⅱ式(BUⅡ式)(B群)に使用した。同じIOL度数における予測屈折値を各式で算出した。術後1か月に他覚屈折値を基に自覚屈折値を算出しそれぞれの予測屈折値と比較した。
結果:術後1か月における屈折値誤差平均値(絶対値平均値)は,H群0.17±0.38D(0.34±0.25D),S群−0.02±0.39D(0.31±0.23D),B群0.20±0.38D(0.35±0.25D)であった。各群間の有意差は平均値ではあったが,絶対値ではなかった(平均値p<0.001,one-way ANOVA,絶対値平均値p=0.301,クラスカル・ウォリス検定)。眼軸長別誤差平均値(H群,S群,B群)は,22mm未満でそれぞれ0.10D,−0.31D,−0.003D,22〜24.5mm未満で0.21D,0.002D,0.23D,24.5mm以上で−0.09D,−0.08D,0.01Dであった。±0.50D(±1.00D)以内に入った割合はH群76.0%(98.7%),S群79.3%(98.7%),B群74.7%(97.3%)で,各群間で有意差はなかった(±0.50D以内p=0.928,±1.0D以内p=0.993,χ2検定)。
結論:Hill-RBF式は,SRK/T式やBUⅡ式と同等の予測精度を示した。これはHill-RBF式がIOL度数計算式において術後屈折誤差が少ない有用な式であることを示す。現状の式では度数設定範囲に制限があり,今後他計算式と同様に使用するにはさらなる改良が必要である。
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