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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
全身麻酔手術後に生じた小児の両眼性黄斑部出血の1例
著者: 関谷泰治1 高地貞宏1 余田敬子2 中条恭子1 亀井裕子1 須藤史子1
所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター眼科 2東京女子医科大学東医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.559 - P.563
文献購入ページに移動症例:6歳,女児。耳鼻科にて全身麻酔下でアデノイド切除術と口蓋扁桃摘出術を施行した。術後数時間にわたり憤怒し,啼泣した。術翌日から母親の顔の中心が見えづらいとの訴えがあり,眼科初診となった。
所見:矯正視力は両眼0.5であり,両眼の黄斑部に約2乳頭径大の網膜出血があり,光干渉断層計で内境界膜下出血を認めた。蛍光眼底造影検査では,網膜出血のblockによる低蛍光領域として描出された。ゴールドマン視野検査では,両眼中心暗点を呈した。経過観察とともに網膜出血は縮小し,術後2か月後には,視力は両眼1.2に改善した。
結論:この小児の場合は,数時間にわたり憤怒し啼泣したことが,Valsalva出血性網膜症の発症原因になった可能性がある。
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