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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
Mooren潰瘍の治療中にCMV角膜内皮炎を発症した2例
著者: 岡朱莉1 上松聖典1 草野真央1 原田康平1 北岡隆1
所属機関: 1長崎大学病院眼科
ページ範囲:P.564 - P.570
文献購入ページに移動症例:症例1は64歳の男性。両眼のMooren潰瘍の表層角膜移植術後で10年以上加療中であったが,2016年に外傷による右眼の眼球破裂で当科を紹介され,手術加療を行った。術後より右眼耳側に新たな周辺部角膜潰瘍が生じ,ステロイドおよび免疫抑制薬の点眼・内服で軽快した。2017年に左眼の視力低下と周辺部角膜潰瘍進行のため,表層角膜移植術および水晶体再建術を施行したが,術後より角膜実質浮腫と角膜後面沈着物が出現し,遷延した。眼圧は点眼・内服下で10mmHg台であった。左眼の前房水PCR検査でCMV陽性であり,ガンシクロビル点眼とバルガンシクロビル塩酸塩の内服を開始した。角膜浮腫は改善せず,2019年2月に全層角膜移植術を施行した。症例2は73歳の男性。2018年より左眼のMooren潰瘍の診断でステロイド内服および免疫抑制薬点眼で加療中であったが,角膜実質浮腫・前房炎症・角膜後面沈着物・眼圧上昇を認め,当科へ紹介となった。初診時の左眼の前房水PCR検査でCMV陽性であり,ガンシクロビル点眼を開始した。前房炎症は改善したが,上方強膜の菲薄化が徐々に進行し,2019年3月に保存強角膜移植術および羊膜移植術を施行した。
結論:Mooren潰瘍の治療中にCMV角膜内皮炎を生じた2例を経験した。ステロイドや免疫抑制薬投与中にCMV活性化を引き起こす可能性も示された。
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