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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻5号

2020年05月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

眼瞼痙攣患者の日常生活の不自由度と危険度

著者: 河本ひろ美1 岩佐真弓1 山上明子1 井上賢治1 若倉雅登1

所属機関: 1井上眼科病院

ページ範囲:P.577 - P.581

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要約 目的:眼瞼痙攣は開瞼困難になり,日常行動上の制限がみられる。今回筆者らは,眼瞼痙攣患者の不自由度と危険度について検討した。

対象と方法:眼瞼痙攣患者でA型ボツリヌス毒素(BTX)治療の前後に936名(男性210名,女性726名,平均年齢67.2歳)にアンケートを行った。

結果:発症後仕事の状況が不変の割合は44.9%で,仕事の効率や意欲は明らかに落ちているが継続している割合は38.7%,休職,退職の割合は16.4%であった。家事従事者では,83.2%は可能,11.5%は十分にできない。3.4%は自分の身の回りのことはできるが家事はできず,1.9%は身の回りのことも介助が必要であった。車の運転は,21.6%は危険を考えて運転をやめており,30.3%は危険を感じているが必要なので運転しており,3.6%は問題なく運転していた。車を運転する人の4.9%が運転中に事故を起こしていた。歩行中や屋内での事故は32.5%が経験し,自転車事故は4.3%であった。全く事故の経験がない割合は60.4%であった。歩行中の事故で段差が関係していた割合は45.7%,障害物にあたった経験は84.3%,頭をぶつけた経験は63.7%,転倒した経験は38.1%であった。

結論:日常生活において不自由や危険がある場合でも,身体障害者福祉法では視覚障害として認定されていない。福祉的救済が必要であると考えられる。

参考文献

1)若倉雅登:眼瞼痙攣—適応と実際—.眼臨医報98:419-421,2004
2)若倉雅登:見えないだけがロービジョンではない—ロービジョンの対象となる様々な疾患—.神経眼科34:25-32,2017
3)Defazio G, Hallett M, Jinnah HA et al:Blepharospasm 40 years later. Mov Disord 32:498-509, 2017
4)久保若奈・原口 瞳・氷室真琴・他:NEI VFQ-25を用いた眼瞼痙攣患者の視機能関連GOLの評価.眼紀61:901-907,2010
5)Svetel M, I vanovic N, Marinkovic J et al:Characteristics of dystonic movements in primary and symptomatic dystonias. J Neurol Neurosurg Psychiatry 75:329-330, 2004
6)大石恵里子・若倉雅登:眼瞼痙攣におけるCES-Dを用いた気分障害の評価.神経眼科27:422-428,2010
7)若倉雅登・山上明子・岩佐真弓:眼球使用困難症候群としての眼瞼痙攣.神経眼科34:421-428,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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