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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
眼瞼痙攣患者の日常生活の不自由度と危険度
著者: 河本ひろ美1 岩佐真弓1 山上明子1 井上賢治1 若倉雅登1
所属機関: 1井上眼科病院
ページ範囲:P.577 - P.581
文献購入ページに移動対象と方法:眼瞼痙攣患者でA型ボツリヌス毒素(BTX)治療の前後に936名(男性210名,女性726名,平均年齢67.2歳)にアンケートを行った。
結果:発症後仕事の状況が不変の割合は44.9%で,仕事の効率や意欲は明らかに落ちているが継続している割合は38.7%,休職,退職の割合は16.4%であった。家事従事者では,83.2%は可能,11.5%は十分にできない。3.4%は自分の身の回りのことはできるが家事はできず,1.9%は身の回りのことも介助が必要であった。車の運転は,21.6%は危険を考えて運転をやめており,30.3%は危険を感じているが必要なので運転しており,3.6%は問題なく運転していた。車を運転する人の4.9%が運転中に事故を起こしていた。歩行中や屋内での事故は32.5%が経験し,自転車事故は4.3%であった。全く事故の経験がない割合は60.4%であった。歩行中の事故で段差が関係していた割合は45.7%,障害物にあたった経験は84.3%,頭をぶつけた経験は63.7%,転倒した経験は38.1%であった。
結論:日常生活において不自由や危険がある場合でも,身体障害者福祉法では視覚障害として認定されていない。福祉的救済が必要であると考えられる。
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