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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻5号

2020年05月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

はつゆき草樹液による眼障害の3例

著者: 原吉幸1 玉木光子2 原育子1 加茂純子3

所属機関: 1原眼科医院 2いしどりや眼科 3甲府共立病院眼科

ページ範囲:P.615 - P.619

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要約 目的:はつゆき草樹液による眼障害を3例経験した。そのうち1例では眼内まで炎症が波及していたので,園芸家などへの警鐘も含めて報告する。

症例:症例1は75歳女性で,剪定時に右眼に草の汁が入った。球結膜充血,角膜びらん,デスメ膜皺襞,前房内炎症細胞を認めた。穿孔性眼内炎も疑われたが穿孔はなく,抗菌薬とステロイドの点眼で4日目に前房の炎症は消失し,角膜上皮も治癒した。症例2は81歳男性で,草刈り時に両眼に樹液が飛入した。治療用コンタクトレンズと抗菌薬,ステロイド,ヒアルロン酸点眼で6日目に治癒した。症例3は71歳女性で,はつゆき草の剪定をしたときに汁が右眼に入り,救急外来で処置を受けた。翌日,眼科を受診し右眼の上皮剝離とデスメ膜皺襞を認めた。抗菌薬点眼と軟膏を投与し,4日目に上皮は治癒した。

考按:3症例とも角膜上皮の剝離とデスメ膜皺襞がみられ,1例では前房内に炎症が波及していた。はつゆき草はトウダイグサ科の植物でユーフォルビアと称して販売されている。樹液にはユーフォルビンを代表とするアルカロイド系の毒性が含まれており,これが角膜上皮に強い障害をもたらし,さらには眼内にまで炎症を及ぼすと思われた。

結論:はつゆき草の樹液による眼障害の3症例を経験した。重症例では眼内の炎症を引き起こすため,穿孔性眼内炎との鑑別も必要となる。樹液毒性について園芸家や販売店への周知が必要と思われた。

参考文献

1)福田佳亮:ハツユキソウ.園芸大図鑑.49.ブティック社,東京,2017
). Eye 8:694-696, 1994
3)Eke T, Al-Husainy S, Raynor MK:The spectrum of ocular inflammation caused by euphorbia plant sap. Arch Ophthalmol 118:13-16, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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