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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
はつゆき草樹液による眼障害の3例
著者: 原吉幸1 玉木光子2 原育子1 加茂純子3
所属機関: 1原眼科医院 2いしどりや眼科 3甲府共立病院眼科
ページ範囲:P.615 - P.619
文献購入ページに移動症例:症例1は75歳女性で,剪定時に右眼に草の汁が入った。球結膜充血,角膜びらん,デスメ膜皺襞,前房内炎症細胞を認めた。穿孔性眼内炎も疑われたが穿孔はなく,抗菌薬とステロイドの点眼で4日目に前房の炎症は消失し,角膜上皮も治癒した。症例2は81歳男性で,草刈り時に両眼に樹液が飛入した。治療用コンタクトレンズと抗菌薬,ステロイド,ヒアルロン酸点眼で6日目に治癒した。症例3は71歳女性で,はつゆき草の剪定をしたときに汁が右眼に入り,救急外来で処置を受けた。翌日,眼科を受診し右眼の上皮剝離とデスメ膜皺襞を認めた。抗菌薬点眼と軟膏を投与し,4日目に上皮は治癒した。
考按:3症例とも角膜上皮の剝離とデスメ膜皺襞がみられ,1例では前房内に炎症が波及していた。はつゆき草はトウダイグサ科の植物でユーフォルビアと称して販売されている。樹液にはユーフォルビンを代表とするアルカロイド系の毒性が含まれており,これが角膜上皮に強い障害をもたらし,さらには眼内にまで炎症を及ぼすと思われた。
結論:はつゆき草の樹液による眼障害の3症例を経験した。重症例では眼内の炎症を引き起こすため,穿孔性眼内炎との鑑別も必要となる。樹液毒性について園芸家や販売店への周知が必要と思われた。
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