文献詳細
特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[3]
原著
文献概要
要約 目的:眉の上を押さえ,前頭筋が働かない状態でも開瞼可能な眼瞼下垂症と,外観,術中の眼窩隔膜の状態との間に関係があるかを検討した。
対象と方法:2009年11月〜2018年7月の間に腱膜性眼瞼下垂に対して腱膜固定術を施行した一連の113人211眼を対象とした。対象を外観より強い奥目,奥目,普通,腫れぼったいの4群に分け,眉の上を押さえたときの開瞼状態,術中の眼窩隔膜の状態との関係を診療録から後ろ向きに検討した。
結果:眉の上を押さえたときの開瞼状態は,強い奥目,奥目,普通,腫れぼったいの各群でそれぞれ,開瞼可は60%,34.4%,10.6%,4.9%,開瞼不可は13.3%,45.9%,76.6%,87.8%で,奥目ほど開瞼可が多く,腫れぼったいほど開瞼不可が多かった。眼窩隔膜と外観との関係は,隔膜が薄い症例はそれぞれ69.2%,53.3%,20.8%,0%で,奥目ほど薄い傾向があった。
結論:眉の上を押さえたときに開瞼できる症例は,奥目の傾向が強いほど多かった。眼窩隔膜は奥目の症例ほど薄く,強い奥目では前頭筋の作用が瞼板に伝わりがたいと考えられた。
対象と方法:2009年11月〜2018年7月の間に腱膜性眼瞼下垂に対して腱膜固定術を施行した一連の113人211眼を対象とした。対象を外観より強い奥目,奥目,普通,腫れぼったいの4群に分け,眉の上を押さえたときの開瞼状態,術中の眼窩隔膜の状態との関係を診療録から後ろ向きに検討した。
結果:眉の上を押さえたときの開瞼状態は,強い奥目,奥目,普通,腫れぼったいの各群でそれぞれ,開瞼可は60%,34.4%,10.6%,4.9%,開瞼不可は13.3%,45.9%,76.6%,87.8%で,奥目ほど開瞼可が多く,腫れぼったいほど開瞼不可が多かった。眼窩隔膜と外観との関係は,隔膜が薄い症例はそれぞれ69.2%,53.3%,20.8%,0%で,奥目ほど薄い傾向があった。
結論:眉の上を押さえたときに開瞼できる症例は,奥目の傾向が強いほど多かった。眼窩隔膜は奥目の症例ほど薄く,強い奥目では前頭筋の作用が瞼板に伝わりがたいと考えられた。
参考文献
1)川本 潔:加齢眼瞼下垂.大木孝太郎:動画でナットク!眼科小手術の基本テクニック.1-144,中山書店,東京,2005
2)睫毛クリップ負荷テスト.栗橋克昭:眼瞼学.眼瞼下垂症手術.3-111,メディカル葵出版,東京,2007
3)森 於菟:筋学.小川鼎三:分担解剖学.1-437,金原出版,東京,1950
4)Tyers AG, Collir JRO:解剖.In野田実香:眼形成手術カラーアトラス.第3版.1-494,エルゼピアジャパン,東京,2010
5)小泉正樹:眼瞼下垂:どこまでやるか.OCULISTA 78:35-42,2019
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