icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻6号

2020年06月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著

脂腺癌により眼瞼癒着をきたし開眼不能に至った1例

著者: 阿部真以子1 檜森紀子1 二宮高洋1 高木尚之2 竹下孝之3 齊藤涼子4 中澤徹1

所属機関: 1東北大学病院眼科 2東北大学病院形成外科 3大崎市民病院眼科 4東北大学病院病理部

ページ範囲:P.759 - P.764

文献購入ページに移動
要約 目的:びまん性に進展する脂腺癌により眼瞼癒着をきたし開眼不能になった1例の報告。

症例:78歳,男性。左上眼瞼に凹凸不整な腫瘤が出現し,瞼裂が癒着し開眼不能の状態となり,精査加療目的で近医から紹介され受診した。

所見:生検による組織診で脂腺癌が疑われ,画像診断で眼球まで腫瘍が浸潤している可能性が大きく,リンパ節転移や多臓器転移を認めなかったことから,眼瞼と眼球を切除し腫瘍の完全切除を目指す方針となり,全身麻酔下で左眼窩内容除去と分層植皮による再建を形成外科と合同で行った。術後11か月目の陽電子放出断層撮影で左頸部リンパ節転移を認め,当院耳鼻科で左頸部郭清手術施行し,現在経過観察をしている。

結論:難治性の慢性結膜炎を呈する場合,点眼による偽類天疱瘡だけでなく,びまん性に病変が進展する脂腺癌も鑑別として考え,診療する必要がある。

参考文献

1)渡辺彰英:脂腺癌の臨床.あたらしい眼科32:1717-1718,2015
2)中山智佳・渡辺彰英・上田幸典・他:眼瞼脂腺癌34例の臨床像と組織学的検討.あたらしい眼科30:1739-1743,2013
3)Watanabe A, Sun MT, Pirbhai A et al:Sebaceous carcinoma in Japanese patients:clinical presentation, staging and outcomes. Br J Ophthalmol 97:1459-1463, 2013
4)Schields JA, Demirci H, Marr BP et al:Sebaceous carcinoma of the eyelids:personal experience with 60 cases. Ophthalmology 111:2151-2157, 2004
5)加茂理英・菅原弘二・石井正光・他:上眼瞼の眼瞼脂腺癌の2例.Skin Cancer 19:190-194,2004
6)滝脇弘嗣:最新皮膚科学体系12:161-164,2002
7)兒玉達夫:眼瞼腫瘍の診断.眼科手術23:364-370,2010
8)野田実香:眼科小手術.眼瞼腫瘍(霰粒腫を含む).眼科47:409-414,2005
9)久保勝文・桜庭知己・荒井優子・他:薬剤性の偽眼類天疱瘡が疑われた1例.日眼会誌105:189-191,2001
10)上田真由美:点眼薬関連アレルギー.偽眼類天疱瘡.日本の眼科87:863-866,2016
11)Patten JT, Cavanagh HD, Allansmith MR:Induced ocular pseudopemphigoid. Am J Ophthalmol 82:272-276, 1976
12)小林正人・岩崎義弘・中村浩平・他:緑内障治療によって生じた偽眼類天疱瘡の2例.臨眼53:721-724,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?