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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻6号

2020年06月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著

眼瞼下垂ミュラー筋タッキング術後の患者満足度

著者: 藤本可芳子1 大澤秀也1 竹山知永子1 高橋愛1 森山貴司1 藤井文登1 宮田信之2

所属機関: 1フジモト眼科 2岡田眼科

ページ範囲:P.771 - P.775

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要約 目的:眼瞼下垂手術後の患者満足度について,後ろ向きに調査した。

対象と方法:2016年5月〜2018年6月の期間に,炭酸ガスレーザーによる皮膚切除を伴ったミュラー筋タッキング手術を行った。術前,術後(1〜3か月)に質問票も用いて開瞼不良,狭い視野,頭痛,肩こり,眠気,改善度,手術の満足度,外見の満足度を調べ,術前後の変化を評価した。さらに,満足度の低い症例については,その要因を調査した。

結果:症例数は95例180眼,男女比32:63,年齢は25〜88歳(平均:67.9±10.8歳)であった。質問事項の術前後の変化は,「開瞼不良がある」が51%から14%に,「視野が狭い」が41%から6%に,「頭痛」が31%から11%に,「肩こり」が70%から44%に,「眠気」が72%から52%に改善した。改善度については,89%で症状が改善したと回答した。手術後の満足度は89%と高く,外見に対する満足度も84%が「良い」と回答した。改善度,手術の満足度,外見について,「やや不満」と答えたのは8例14眼であり,年齢46〜76歳(平均58.6歳),男女比3:5であった。外見の変化が予想より少ない,左右差,ドライアイ,突っ張る感じがあるが不満の原因であった。

結論:術後満足度は高いものの,年齢と性別にかかわらず,術後の期待度を確認し,外見も考慮し,術前に十分に説明することが必要と考えられた。

参考文献

1)Cetinkaya A, Brannan PA:Ptosis repair options and algorithm. Curr Opin Ophthalmol 19:428-434, 2008
2)白川理香・野田美香:眼瞼下垂の術式の進歩.医学のあゆみ262:990-993,2017
レーザーを使用したMuller筋牽引縫縮眼瞼下垂手術(Extended Tucking法).臨眼70:689-693,2016
4)Kokubo K, Katori N, Hayashi K et al:Evaluation of the eyebrow position after external Müller's muscle tucking:a new technique for ptosis repair. J Plast Reconstr Aesthet Surg 72:662-668, 2019
5)山本理沙子・白川理香・豊野哲也・他:緑内障術後濾過胞眼における眼瞼下垂症手術の術後経過.日眼会誌123:402-406,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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