icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻7号

2020年07月発行

臨床報告

側方視での複視を初発症状とした加齢に関連した斜視

著者: 大平明彦1

所属機関: 1若葉眼科病院

ページ範囲:P.815 - P.821

文献概要

要約 目的:側方視での複視を初発症状とした加齢に関連した斜視の臨床像を明らかにすること。

対象と方法:右方視での複視を自覚して受診した3症例と左方視での複視を自覚した3症例につき,回旋偏位を含む自覚的・他覚的斜視角を検討した。

結果:患者の年齢は61〜74歳。初診時の正面視での上下斜視角は1〜3°と小さい。側方視での上下ずれの増加(4名),外方回旋ずれの増加(1名),内斜視・外方回旋ずれの増加(1名)が主因となり,融像を維持できなくなり複視が出現したと考えられた。4症例で経過中に斜視の悪化を認めた。

結論:正面視では微小角の斜位であるが,側方視で回旋を含めた斜視角が増加することにより,複視を自覚する加齢関連斜視があるので留意したい。

参考文献

1)Chaudhuri Z, Demer JL:Sagging eye syndrome, connecting tissue involution as a cause of horizontal and vertical strabismus in older patients. JAMA Ophthalmol 131:619-625, 2013
2)大平明彦:50歳以上の高齢者にみられた加齢による斜視の長期観察.日眼会誌119:619-624,2015
3)大平明彦:加齢に関連して発症した小角度の上下斜視における外方回旋偏位と優位眼.日眼会誌123:161-166,2019
4)Bixenman WW, von Noorden GK:Apparent foveal displacement in normal subjects and in cyclotropia. Ophthalmology 89:58-62, 1982
5)大平明彦:76歳以上の高齢者での他覚的外方回旋偏位と優位眼の関係.日眼会誌122:499-502,2018
6)Godts D, Deboutte I, Mathysen DGP:Long-term evolution of age-related distance esotropia. J AAPOS 22:97-101, 2018
7)前田悠菜・木村 徹・木村友剛・他:Sagging eye syndrome初発・軽症例と診断した4例 初期病態とその発症機序.眼臨紀11:283-288,2018
8)大平明彦:「プリー異常を伴う内斜視に倍量矯正角手術が奏功した一例」について.神経眼科36:238-239,2019
9)Dieterich M, Brandt T:Ocular torsion and tilt of subjective visual vertical are sensitive brainstem signs. Ann Neurol 33:292-299, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら