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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
抗MOG抗体陽性急性散在性脳脊髄炎に伴った小児視神経炎の1症例
著者: 井上晋也1 忍田栄紀1 鈴木利根1 町田繁樹1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
ページ範囲:P.893 - P.898
文献購入ページに移動症例:5歳,男児。2018年4月,麻疹・風疹ワクチン接種。5月中旬から発熱・頭痛・嗜眠・視力障害を自覚し,近医眼科を受診した。矯正視力は右1.0,左0.2。両眼視神経乳頭の発赤腫脹,網膜血管の拡張蛇行を認め,翌日視神経炎疑いで当科を紹介され受診となった。当科初診時視力は右0.07,左0.04とさらに低下した。眼所見と病歴から,感染やワクチン接種契機のADEMに伴う視神経炎を疑い,同日当院小児科に精査加療目的で緊急入院となった。咽頭粘液から溶連菌が検出され,頭部MRIでは脳室周囲の白質に散在性の高信号域を認めた。ADEMの診断でステロイドパルス療法を2クール施行した。治療後の最終矯正視力は両眼1.2に改善したが,初診から2か月後の頭部MRIで新たに異常高信号域を認め,血清検査で抗MOG抗体陽性であった。さらに2か月後の頭部MRIで白質病変は消失し,その後再発はない。
結論:ADEMは一般的に単相性の経過をとるが,抗MOG抗体陽性の場合は再発する可能性があるもののステロイドの反応性が良好であると考えられた。抗MOG抗体の測定は,ADEM患者の経過を予測するうえで有用と考えられた。
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