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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
災害等の停電時における眼科診療—電気自動車の電源の利用
著者: 田川考作1 河崎一夫2
所属機関: 1小矢部たがわ眼科 2神通眼科クリニック
ページ範囲:P.913 - P.918
文献購入ページに移動対象と方法:アウトランダーPHEV(三菱自動車)は,容量約14kWhの蓄電機能とガソリンを使用した発電機能を併せもつ。車外の100Vの電気機器に対し,消費電力の合計が1,500W以下なら最長約80時間PHEVから給電できる。PHEV車内の給電口から市販の延長コードを使用するのみで眼科器械へそれぞれ単独に接続し,器械ごとに給電され作動するかを検討した。さらに,PHEVから複数の眼科器械へ一度に同時に接続し眼科診療を試みた。
結果:細隙灯顕微鏡(消費電力の目安は50W),眼底倒像鏡(50W),オートレフ・ケラトメータ(70W),眼圧計(70W),電動光学台(150W),電動椅子(200W),YAGレーザー(500W),レセプトコンピュータ(400W),超音波白内障手術器械(400〜500W),手術顕微鏡(400〜700W)および手術ベッド(400W)は,それぞれ単独で接続した状態で起動し作動した。レセプトコンピュータ,細隙灯顕微鏡,電動椅子,眼底倒像鏡および眼圧計へ一度に同時に接続した状態で2時間の診療が行えた。その際,レセプトコンピュータのプリンターおよび細隙灯顕微鏡の上下移動は消費電力が大きいため使用しなかった。蓄電容量は全容量の約1/10を消費しただけであった。オートレフ・ケラトメータと眼圧計への供給電圧を100Vから70Vまで低下させても,測定値には差はほとんどなかった。
結論:停電時にPHEVの給電機能を利用した眼科診療は可能であるが,一度に使用できる消費電力(1,500W)に制限がある。解決法として,PHEVと診療所の間にV2Hシステムの設置もしくはPHEVの複数台利用が考えられる。
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