文献詳細
文献概要
特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
佐賀大学における真菌性鼻性視神経症の検討
著者: 吉川彩1 三根正1 江内田寛1
所属機関: 1佐賀大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.977 - P.984
文献購入ページに移動対象と方法:2012年4月〜2019年3月に当院で真菌性鼻性視神経症に対して加療を行い,3か月以上経過観察できた4例を後ろ向きに検討した。3例が片眼性,1例が両眼性で,男性1例・女性3例,初診時平均年齢は71.0±16.0歳,平均経過観察期間は17.5±10.4か月であった。既往歴としてステロイド投与が3例,副鼻腔炎手術が1例にあった。
結果:初診時の矯正視力は0.03が1例,手動弁が1例,光覚なしが2例で,視力低下の自覚は2週間前〜3か月前であった。MRIで全例で鼻性視神経症が疑われたが,1例は明らかな骨破壊像はなかった。当院耳鼻咽喉科にて全例で内視鏡下副鼻腔手術を行い,いずれも切除病変の病理検査でアスペルギルス症と診断された。手術前後より抗真菌薬投与を行ったものの,最終視力は全例で光覚なしと不良であった。
結論:近年,免疫抑制薬や抗腫瘍薬の汎用に伴い,副鼻腔真菌症が増加傾向である。中枢神経系への浸潤は生命予後も不良となるため,眼痛を伴う著明な視力低下を認めた場合は,本症も念頭に早急な画像検査や耳鼻科診察が必要である。
参考文献
掲載誌情報