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連載 Clinical Challenge・6
両眼眼底に多発性白斑を認めたぶどう膜炎症例
著者: 工藤朝香1 丹藤利夫1 目時友美1 中澤満1
所属機関: 1弘前大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1072 - P.1075
文献購入ページに移動患者:30代,女性
現病歴:両眼の霧視と充血があり,近医眼科を受診したところ,両眼の炎症と高眼圧を認め,副腎皮質ステロイド(以下,ステロイド)薬と眼圧下降薬の点眼にて治療された。その後,眼圧は正常化し炎症も沈静化したため,眼圧下降薬のみ中止して経過観察となった。5か月後に左眼の炎症が悪化したため,同じ医療圏の中核病院眼科へ紹介となった。両眼に散在性の白斑に加え,左眼に前眼部炎症所見と硝子体混濁がみられた。採血検査と胸部X線撮影を行うもののぶどう膜炎の原因が特定できなかったため,弘前大学医学部附属病院眼科(以下,当科)に紹介され受診した。
初診時所見:矯正視力は,右1.2,左1.0で,両眼ともに混合性乱視であり,眼圧は正常範囲内であった。両眼底に散在性に円形の白斑病巣がみられ,さらに左眼には硝子体混濁を認めた(図1)。隅角には両眼にテント状の周辺虹彩前癒着を認め,眼底の白斑病巣はフルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)では過蛍光,インドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography:IA)では低蛍光となった(図2)。
臨床検査所見としては,アンギオテンシン変換酵素16U/ml(正常範囲:8.3〜21.4),リゾチーム10.9μg/ml(正常範囲:5.0〜10.2),可溶性インターロイキン-2レセプター(soluble interleukin-2 receptor:sIL-2R)1,170U/ml(正常範囲:145〜519)であり,そのほかに異常はなかった。
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