文献詳細
臨床報告
眼瞼外毛根鞘腫の2例
著者: 向坂親蔵12 高木健一23 吉川洋2 田邉美香2 喜多岳志23 熊野誠也23 中山正道4 園田康平2
所属機関: 1麻生飯塚病院眼科 2九州大学大学院医学研究院眼科学分野 3独立行政法人国立病院機構小倉医療センター眼科 4独立行政法人国立病院機構小倉医療センター臨床検査科
ページ範囲:P.1092 - P.1096
文献概要
症例:症例1は78歳,女性。2年前から存在する眼瞼腫瘍切除目的に初診した。左上眼瞼外側皮膚に3.5mm×4.0mmの黄白色調,中央部には陥凹を伴い,同部位に角質様の付着物を伴う腫瘤を認めた。全摘出したところ,切除組織は,HE染色で胞巣の一部に淡明な腫瘍細胞が柵状配列を呈しており,外方増殖と内方増殖を同時に示していた。表層には錯角化を認め,腫瘍細胞の一部に核周囲のhaloを伴っており,外毛根鞘腫と確定診断した。切除後3か月において,明らかな腫瘍の再発はない。症例2は74歳,女性。1年半前,右上眼瞼内側に腫瘤を自覚し,初診した。初診時,右上眼瞼内側皮膚に大きさ7mm×5mm,色調は黄色,中央部には陥凹し,付着物と軽度の睫毛禿を認める腫瘍を認めた。腫瘤を生検し,切除組織はHE染色で症例1と同様の所見を認め,外毛根鞘腫と確定診断した。残存腫瘍を余剰皮膚とともに切除し,切除後半年において再発はない。
結論:外毛根鞘腫は眼瞼にも生じうるため,鑑別診断の1つに挙げておく必要がある。
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