文献詳細
臨床報告
外傷性の眼窩内骨膜下血腫に対して手術を行い視力改善した1例
著者: 武田莉沙1 石戸岳仁1 渕野恭子1 小島一樹1 藤井晶子2 井上克洋1
所属機関: 1藤沢市民病院眼科 2藤沢市民病院形成外科
ページ範囲:P.1097 - P.1102
文献概要
症例:17歳,男性。兄弟喧嘩で左眼窩部を受傷した。初診時の左眼視力は(1.2),左眼圧47mmHgと高値であった。薬物治療により翌日には左眼圧28mmHgに降圧されたが,4日後に左眼窩内骨膜下血腫が増大し,左眼視力は0.01(矯正不能)に低下した。眼窩内骨膜下血腫による圧迫性視神経症と診断し,緊急で眼窩内血腫洗浄ドレナージ術を施行した。術後翌日,左眼視力は0.1(矯正不能)に改善された。術後3日目には左眼視力0.7(矯正不能)とさらに改善がみられ,頭部CTでは術後眼窩内骨膜下血腫は著明に改善した。
結論:治療は観血的治療と保存的治療があるが,網膜や視神経に不可逆的な循環障害を生じると,血腫を除去しても視力予後が不良な場合がある。そのため,眼窩内骨膜下血腫がみられた場合,慎重に視力検査や眼底診察を行い,頭部CTや頭部MRIで血腫の大きさを評価することで観血的治療を行うタイミングを逃さないことが肝要であると考えられた。
参考文献
掲載誌情報