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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻9号

2020年09月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

経毛様体扁平部挿入型Baerveldt緑内障インプラント手術の長期成績

著者: 沼尾舞1 忍田栄紀1 町田繁樹1 石塚匡彦1 西村智治1

所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科

ページ範囲:P.1132 - P.1136

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要約 目的:硝子体手術既往眼あるいは硝子体手術と同時に,経毛様体扁平部挿入型Baerveldt緑内障インプラント挿入チューブシャント手術(BGI手術)を行った症例の長期術後成績を評価した。

対象と方法:対象はBGI手術を施行し2年以上経過観察できた51例57眼。原因疾患は血管新生緑内障が49眼,続発性緑内障が4眼,原発開放隅角緑内障が3眼,原発閉塞隅角緑内障が1眼であった。術前後の眼圧および点眼・内服スコア,そして合併症の有無を評価した。

結果:術前,術後1および2年の平均眼圧は,それぞれ39.1±13.1,14.6±5.5,14.3±5.1mmHgと術前に比較し有意に低下した。術前,術後1および2年後の点眼・内服スコアは,それぞれ4.3±1.4,1.7±1.4,1.9±1.5であり,有意に減少した。術後の合併症は,脈絡膜剝離10眼(18%),硝子体出血14眼(25%),高眼圧14眼(25%),低眼圧3眼(5%),虹彩後癒着4眼(7%),前房出血3眼(5%),角膜上皮障害1眼(2%),チューブ関連合併症(Hoffman elbow露出5眼:9%,チューブ露出2眼:4%)で,これに伴って眼内炎を2眼(4%)で認めた。

結論:経毛様体扁平部挿入型BGI挿入チューブ手術により長期的な眼圧コントロールを得られたが,チューブの露出に伴う眼内炎など重篤な合併症をきたす症例も散見された。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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