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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
両側涙腺炎を契機に発見された伝染性単核球症の1例
著者: 村上博美1 井上麻衣子2 北嶋遥子1 佐藤新兵1 門之園一明2
所属機関: 1関東労災病院眼科 2横浜市立大学医学研究科医科学視覚再生外科学教室
ページ範囲:P.1137 - P.1140
文献購入ページに移動症例:21歳,女性。両上眼瞼腫脹を主訴に横浜市立大学附属市民総合医療センター(当院)を紹介され受診した。初診時の矯正視力は両眼1.2,眼球運動障害はなく,両上眼瞼腫脹がみられた。前眼部と眼底に特記所見はなかった。MRIで両側の涙腺腫大がみられ,涙腺炎の診断となった。血液検査で肝障害と異型リンパ球が検出されたため,当院血液内科へ紹介となった。血清ウイルス抗体価ではEpstein-Barrウイルス(EBV)のVCA-IgM 20倍,VCA-IgG 640倍,EBNA 10倍以下で,EBVの初感染による伝染性単核球症と診断された。約2週間の経過観察のみで肝障害および上眼瞼腫脹は改善した。
結論:若年者の涙腺炎においては,鑑別疾患として伝染性単核球症を念頭に置いた診察が必要であると思われる。
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