icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科74巻9号

2020年09月発行

文献概要

特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

両側涙腺炎を契機に発見された伝染性単核球症の1例

著者: 村上博美1 井上麻衣子2 北嶋遥子1 佐藤新兵1 門之園一明2

所属機関: 1関東労災病院眼科 2横浜市立大学医学研究科医科学視覚再生外科学教室

ページ範囲:P.1137 - P.1140

文献購入ページに移動
要約 目的:両側涙腺炎を契機に発見された伝染性単核球症の報告。

症例:21歳,女性。両上眼瞼腫脹を主訴に横浜市立大学附属市民総合医療センター(当院)を紹介され受診した。初診時の矯正視力は両眼1.2,眼球運動障害はなく,両上眼瞼腫脹がみられた。前眼部と眼底に特記所見はなかった。MRIで両側の涙腺腫大がみられ,涙腺炎の診断となった。血液検査で肝障害と異型リンパ球が検出されたため,当院血液内科へ紹介となった。血清ウイルス抗体価ではEpstein-Barrウイルス(EBV)のVCA-IgM 20倍,VCA-IgG 640倍,EBNA 10倍以下で,EBVの初感染による伝染性単核球症と診断された。約2週間の経過観察のみで肝障害および上眼瞼腫脹は改善した。

結論:若年者の涙腺炎においては,鑑別疾患として伝染性単核球症を念頭に置いた診察が必要であると思われる。

参考文献

1)Tabbara KF, Khairallah M, Kahloun R:Infections of the lacrimal system. Ocular Infections. Essentials in Ophthalmology 45-56, 2014
2)直川匡晴・荒牧 陽・米谷 昇・他:両側涙腺炎と眼球運動障害を来したEBウイルスによる伝染性単核球症.内科専門医会誌14:193-196,2002
3)Christopher J:Eyelid Swelling. Merck Manual Professional Version, 2019
4)Boruchoff SA Boruchoff SE Infections of the lacrimal system. Infect Dis Clin North Am 6:925-932, 1992
5)Jones BR:The clinical features and aetiology of dacryoadenitis. Trans Ophthalmol Soc U K 75:435-452, 1995
6)児玉俊夫・北畑真美・池川泰民・他:急性涙腺炎を発症したEpstein-Barrウイルスによる伝染性単核球症の1例.あたらしい眼科24:862-867,2017
7)長谷川真紀・斎藤勝也・石川央朗・他:伝染性単核球症に罹患し呼吸困難をきたした3症例の検討.小児感染免疫22:217-222,2010
8)Gaston JS, Rowe M, Bacon P:Sjögren's syndrome after infection by Epstein-Barr virus. J Rheumatol 17:558-561, 1990
9)Pflugfelder SC, Crouse CA, Monroy D et al:Epstein-Barr virus and the lacrimal gland pathology of Sjögren's syndrome. Am J Pathol 143:49-64, 1993
10)Merayo-Lloves J, Baltatzis S, Foster CS:Epstein-Barr virus dacryoadenitis resulting in keratoconjunctivitis sicca in a child. Am J Ophthalmol 132:922-923, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら