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特集 第73回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
Spontaneous hyphemaを生じた小児の1例
著者: 吉見翔太1 小菅正太郎1 和田悦洋1 和田清花1 嶌嵜創平1 木崎順一郎1 齋藤雄太1 恩田秀寿1
所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.1145 - P.1149
文献購入ページに移動症例:7歳,男児。右結膜充血と突然の眼痛を自覚し,近医を受診した。右前房出血の診断で,精査加療目的で当院を紹介され受診となった。初診時の右矯正視力は光覚なし,右眼圧は60mmHgであった。右前眼部所見上,前房内を出血が充満し,瞳孔および虹彩紋理は透見不能であった。外傷歴はなく,家庭環境も良好であり,四肢体幹に外傷痕がないため虐待の可能性は否定的であった。全身検査でも出血性素因などの異常はなかった。入院にて,安静・薬物加療を行うも,出血の消退および眼圧の下降が得られなかったため,入院3日後に前房内血腫除去術を施行した。術後角膜染血症などの合併症はなく,右矯正視力は1.2まで改善し,前房出血の再発もなかった。
結論:小児に発生したspontaneous hyphemaでは,早期に前房内血腫除去術を施行したことで不可逆的障害を残さず,良好な視力を得ることができた。
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