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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著
ゴルフボールによる外傷性網膜剝離に対して硝子体手術を施行した1例
著者: 岡雅美1 佐藤孝樹1 大須賀翔1 水野博史1 喜田照代1 池田恒彦1
所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1339 - P.1343
文献購入ページに移動症例:53歳,男性。自分で打ったゴルフボールが跳ね返り至近距離で左眼直撃,左眼の視力低下を主訴に大阪医科大学病院眼科を受診した。左眼は眼瞼腫脹,結膜下出血,前房出血を認め,眼底は透見不能であった。超音波Bモード検査で硝子体出血を認めた。眼球破裂の可能性が高いと判断し硝子体手術を施行した。前房洗浄後,水晶体亜脱臼を認めた。眼球破裂を疑う部位はテノン囊で被覆されていた。眼底は網膜剝離と網膜壊死を認め,硝子体切除後に,気圧伸展網膜復位術,眼内光凝固,シリコーンオイルタンポナーデを施行した。後日,シリコーンオイル抜去,眼内レンズ毛様溝縫着,瞳孔形成を行い,視力は(0.2)まで回復した。
結論:ゴルフボールは他の競技の球よりも小さく眼窩内に嵌入しやすく,打球のスピートも早いため眼球破裂をきたしやすいが,本症例は眼球破裂部位が小さく凝血塊で被覆され,後方に生じたため眼球内容の脱出が少なかったことが予後良好の一因と考えられた。
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