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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻10号

2021年10月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

内因性細菌性眼内炎に対し硝子体手術を施行した4例

著者: 安達まい1 木崎順一郎1 齋藤雄太1 和田悦洋1 浅野泰彦1 小菅正太郎2 和田清花2 恩田秀寿1

所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座 2昭和大学江東豊洲病院眼科

ページ範囲:P.1351 - P.1357

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要約 目的:内因性細菌性眼内炎に対し硝子体手術を施行した4症例を報告する。

症例:症例1は83歳,女性。左眼内炎で初診時左眼視力は10cm指数弁であった。同日より抗菌薬の点滴静注を施行し,第3病日に硝子体内注射を,第11病日に硝子体手術を施行した。左眼視力は最終的に(0.5)を得た。血液培養からAggregatibacter actinomycetemcomitansが検出された。

 症例2は51歳,男性。両眼眼内炎で初診時矯正視力は右0.02,左10cm指数弁であった。同日抗菌薬の両眼硝子体注射と点滴静注を,第4病日に右眼硝子体手術を施行したが両眼失明に至った。肝膿瘍ドレナージにてKlebsiella pneumoniaeが検出された。

 症例3は46歳,女性。右眼内炎で初診時右眼矯正視力は0.01であった。同日より抗菌薬の点滴静注を開始した。第53病日に硝子体手術を施行し,右眼手術から3か月で右眼視力は0.3まで改善した。尿路感染,左腸腰筋膿瘍が疑われ,血液培養からStreptococcus agalactiaeが検出された。

 症例4は73歳,女性。肺炎と意識障害で入院し,各種培養からK. pneumoniaeが検出され,抗菌薬の全身投与が行われていた。意識回復後に左眼痛を訴え当科を受診し左眼視力は光覚弁であった。硝子体手術施行したが,失明に至った。

結論:内因性細菌性眼内炎は抗菌薬の全身投与が第一であり,早急な治療開始を要する。経時的な悪化や網膜剝離などの合併が疑われた際には手術に踏み切り,手術困難な場合は硝子体注射の頻回投与を考慮すべきである。

参考文献

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に起因したと考えられる眼内炎の1例.臨眼74:497-503,2020
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5)黒部彩那・藤川亜月茶・宮城清弦・他:硝子体手術と術後の抗菌薬硝子体内注射が奏効したクレブシエラ肺炎桿菌による眼内炎.臨眼71:713-717,2017
6)Fujita M, Takahashi A, Imaizumi H et al:Endogenous endophthalmitis associated with pyogenic liver abscess caused by Klebsiella pneumoniae. Intern Med 58:2507-2514, 2019
7)Wang Y, Wang X, Di Y:Surgery combined with antibiotics for the treatment of endogenous endophthalmitis caused by liver abscess. BMC Infect Dis. doi:10.1186/s12879-020-05390-z, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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