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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著
Lポケット切開法による計画的囊外摘出術が有効であった小角膜症3例
著者: 鈴木幹崇1 森春樹1 松島博之1 永田万由美1 妹尾正1
所属機関: 1獨協医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1364 - P.1371
文献購入ページに移動方法と症例:小角膜症例では角膜径が小さい一方で水晶体は正常の大きさであることが多く,白内障手術が困難である。今回,太田らによって報告されたLポケット切開法を応用して切開創を拡大してECCEを行い良好な結果が得られたので報告する。方法は太田らの報告したLポケット切開を横9mm,縦切開2mmを作製し,連続環状囊切開(CCC)作製後2か所減張切開を作製して,水晶体核の娩出を行った。症例1は64歳,女性。ペータース異常を指摘され,角膜縦径6.7mm,横径7.4mmであった。術前視力は左30cm指数弁(矯正不能),エメリー・リトル分類Grade 4の白内障に対してECCEを行い,術後視力は左(0.01)であった。症例2は78歳,女性。小眼球と非定型コロボーマを認め,角膜縦径7.7mm,横径8.0mmであった。術前視力は右(0.01)で,エメリー・リトル分類Grade 4の白内障に対しECCEを行い,術後視力は右(0.08)であった。症例3は63歳,女性。小眼球とコロボーマを認め,角膜縦径8.2mm,横径8.8mmであった。術前視力は左30cm手動弁で,エメリー・リトル分類Grade 5の白内障であった。核が大きく硬く娩出が困難であり,横切開を拡大した。術後視力は左0.02(矯正不能)であった。
結論:小角膜症の核硬度が高い症例に対してLポケット切開法を応用することで,安全にECCEを施行することが可能であった。
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