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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著
急性網膜壊死治療後のアシクロビル予防量投与中に僚眼に発症した1例
著者: 鈴木映美1 岩西宏樹1 安田慎吾1 細井裕樹2 雑賀司珠也1
所属機関: 1和歌山県立医科大学眼科 2和歌山県立医科大学血液内科
ページ範囲:P.1372 - P.1377
文献購入ページに移動症例:66歳,女性。2019年7月に急性骨髄性白血病に対して造血幹細胞移植を施行された。アシクロビル200mg/日内服中に左視力低下を主訴に和歌山県立医科大学附属病院眼科を受診した。初診時視力は右(0.8),左(0.09)。右眼は異常なく,左眼に前房内炎症細胞,網膜周辺の白色病変,裂孔原性網膜剝離を認め同日入院した。入院日から抗サイトメガロウイルス薬,翌日からアシクロビルの点滴治療を施行し,入院6日目に網膜剝離に対して手術を行った。前房水と硝子体液から水痘・帯状疱疹ウイルスが検出され,急性網膜壊死と診断した。アシクロビル点滴(5mg/kg×3回/日)2週間,バラシクロビル内服3,000mg/日2週間の全身投与後,病勢が鎮静化したと判断し,アシクロビル200mg/日を継続したが,約1か月後に右眼に白色病変が出現,その後裂孔原性網膜剝離が発症し左眼と同様の治療を行った。バラシクロビル3,000mg/日内服を3週間継続するも副作用のためアメナメビルに変更したが,血球減少のため再度バラシクロビル1,000mg/日に変更したところ症状は改善,以降再発はない。
結論:造血幹細胞移植の患者を対象とした研究で,アシクロビル200mg/日の有用性が報告されているが,免疫不全状態にある患者の急性網膜壊死の発症および僚眼発症に対する予防はアシクロビル200mg/日では不十分の可能性がある。
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