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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻10号

2021年10月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

ロービジョン外来を受診した黄斑部萎縮の8症例におけるFunctional Vision Score評価

著者: 鶴岡三惠子1 井上賢治1

所属機関: 1井上眼科病院

ページ範囲:P.1397 - P.1403

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要約 目的:当院のロービジョン(LV)外来を受診した近視性黄斑症の8例についてFunctional Vision Score(FVS)の評価を行ったので報告する。

対象と方法:対象は2019年1月〜2020年3月にLV外来を受診し,カルテの眼底写真より近視性黄斑症の国際分類のカテゴリー3,4と判定した8例を対象とした。平均年齢は77.0±11.1歳(55〜91歳),性別は全8例が女性であった。合併疾患は緑内障が2例4眼,角膜変性が1例2眼,黄斑円孔が1例1眼であった。視力・視野,身体障害者手帳(手帳)の等級,FVS,LVケアについて後ろ向き調査を行った。

結果:視力良好眼の視力は0.02〜0.3であった。視野は,5例で両眼の中心暗点もしくは傍中心暗点を,3例で片眼の中心暗点もしくは傍中心暗点を認めた。視覚の手帳は全員が取得しており,等級は1級2例,2級3例,4級2例,5級1例であった。FVSは4〜43(平均24±15)で,American Medical Association classを用い判定すると,class 4の全視覚障害が3例,class 3bの極度視覚障害が2例,class 3aの重度視覚障害が3例であった。LVケアでは4例で補助具が必要で音声図書・音声グッズの使用が適用となった。

結論:FVS判定では3例が全視覚障害に該当し,音声補助具が必要で,他5例もclass 3の極度視覚障害もしくは重度視覚障害に該当し,音声補助具が必要であった。

参考文献

1)世古裕子:病的近視の治療 最前線 強度近視に対するロービジョンケア.OCULISTA 36:45-52,2016
2)Ohno-Matsui K, Kawasaki R, Jonas JB et al:Internatinal phographic classification and grading system for myopic maculopathy. Am J Ophthalmol 159:877-883, 2015
3)川崎 良・川崎有美子:強度近視の新分類.OCULISTA 36:1-8,2016
4)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価(第2回) 国際基準でありQuality of Life(QOL)との相関があるFunctional Vision Score(FVS).日本の眼科82:463-467,2011
5)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価(第4回) WHOの障害定義の変遷,Functional Vision Score(FVS)とWhole Person Impairment(WPI:一個人に対するインパクト).日本の眼科82:1069-1072,2011
6)鶴岡三惠子・加茂純子・井上賢治:視覚の身体障害者認定基準では評価が難しい症例についてのFunctional Vision Scoreでの評価.眼臨紀8:885-890,2015
7)鶴岡三惠子・井上賢治:旧基準では視覚障害の身体障害者手帳の申請が却下となった2例のFunctional Vision Score評価.臨眼73:1281-1289,2019
8)村上美紀・石橋真吾・近藤寛之:FVS(Functional Vision Score)中心暗点ルール適応前後のFVSスコアとAMAクラス.眼臨紀12:194-199,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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