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増刊号 この症例このまま診ていて大丈夫? 病診連携にもとづく疾患別眼科診療ガイド 1 眼瞼・結膜
外反症・内反症・眼瞼下垂
著者: 大山泰司12 渡辺彰英1
所属機関: 1京都府立医科大学附属病院眼科 2那覇市立病院眼科
ページ範囲:P.40 - P.46
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《外反症》
・急性発症であれば眉毛の高さを見て顔面神経麻痺の鑑別を行う.ただし,中枢性の顔面神経麻痺であれば眉毛の位置は正常のため,可能であれば感染症に配慮しつつマスクを外してもらい口角の高さに左右差がないかも確認するほうが望ましい.
《内反症》
・年齢にかかわらず,不可逆性の角膜障害を生じる前に治療を行う.
・小児では角膜所見を確認するとともに乱視の増悪による視力低下,弱視の併発に十分注意をする.
・小児は自覚の訴えが難しいこともあり保護者からの聞き取りも参考にする.
《眼瞼下垂》
・小児の先天性眼瞼下垂では,顎上げや眉毛挙上などをしているか,瞳孔反射が得られるかを確認する.
・動脈瘤の圧迫による動眼神経麻痺鑑別のため,瞳孔の左右差や急性発症でないか必ず確認をする.
・散瞳と完全動眼神経麻痺があれば直ちに動脈瘤を疑う.
病院で診るとき
《外反症》
・原因が弛緩によるものなのか,もしくは眼瞼前葉の萎縮(皮膚瘢痕,拘縮)や後葉の過剰(瞼結膜の膨隆)によるものなのか外眼部診察を行う.
・顔面神経麻痺が疑われる場合にはその他の神経症状についても問診を行い,症状があれば頭蓋内疾患を疑い画像検索を行う.
・顔面神経麻痺で頭蓋内疾患が否定されれば,後日耳鼻咽喉科などの当該科へ対診依頼をする.
《内反症》
・眼瞼の前葉,後葉いずれが原因となっているのか診察時に確認をする.
・内反症と涙道通過障害が併存している流涙症の患者に涙道治療を先に行った場合,角膜所見が増悪することがあるので留意しておく必要がある.
《眼瞼下垂》
・日内変動や瞳孔左右差,眼球運動について評価を行う.
・急性発症で散瞳を伴った眼瞼下垂では脳動脈瘤を疑い,その日のうちに脳神経外科など当該科へ対診の依頼をする.
・片眼性の場合,僚眼の過開大(眼瞼後退)がないか評価をする.
・先天性眼瞼下垂では瞳孔反射や追視の有無をみて形態遮断覚弱視に注意する.
参考文献
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