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増刊号 この症例このまま診ていて大丈夫? 病診連携にもとづく疾患別眼科診療ガイド 5 緑内障
小児の緑内障
著者: 川瀬和秀12 野々部典枝3 冨田遼4
所属機関: 1安間眼科 2名古屋大学医学部眼科 3名古屋大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター 4名古屋大学医学部附属病院眼科
ページ範囲:P.181 - P.186
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《原発先天緑内障》
・出生前または新生児期(0〜1か月):出生直後から角膜混濁,角膜径増大(11mm以上),眼軸長の伸長などを認め,アイケアなどによる眼圧測定で高眼圧を認める場合,および先天眼形成異常や先天全身疾患に関連した緑内障などの眼圧上昇の可能性がある疾患.
・乳児期(1〜24か月):生後数か月から流涙,羞明,眼瞼痙攣などの角膜浮腫による刺激症状がある場合,眼圧測定,眼底検査,超音波Bモード検査などにより角膜混濁,角膜径増大(12mm以上),眼圧上昇,眼軸長の伸長を確認した場合.
・遅発性(2歳以上):2歳以上で流涙,羞明,眼瞼痙攣などの角膜浮腫による刺激症状がある場合,細隙灯顕微鏡検査,圧平眼圧測定,眼底検査,超音波Bモード検査などにより角膜混濁,角膜径増大(13mm以上),眼圧上昇,眼軸長の伸長や近視化を確認した場合.
《若年開放隅角緑内障》
・4歳以降では,眼球拡大や角膜浮腫などの刺激症状を伴わないことも多い.細隙灯顕微鏡検査,圧平眼圧測定,超音波Bモード検査,屈折検査,眼底検査などにより角膜混濁,角膜径増大,眼圧上昇,眼軸長の伸長や近視化,視神経乳頭陥凹拡大などを確認した場合.
・小学生以上では,細隙灯顕微鏡検査,圧平眼圧測定,眼底検査に加え,OCTや視野検査により緑内障が疑われる場合.
病院からクリニックへ逆紹介するとき
・幼児や小児の臨床検査や視能訓練ができる施設は限られているため,逆紹介する前に確認する.
・緑内障治療とともに視能訓練も大切である.
・術後眼圧が落ち着いていても数か月〜半年に1回の診察継続が必要.
・4歳以上では,視力,眼圧測定,小学生以上では,視野検査や眼底写真,OCTの練習が必要.
参考文献
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