文献詳細
臨床報告
再発がみられた単純ヘルペスウイルス2型による急性網膜壊死の1例
著者: 清野修平1 南場研一1 水内一臣1 岩田大樹1 鈴木佳代1 品川真有子1 長谷敬太郎1 石田晋1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院眼科学教室
ページ範囲:P.1527 - P.1532
文献概要
症例と所見:12歳,女性。右眼に前房炎症,硝子体混濁,全周の網膜血管の白鞘化,白色滲出斑の散在がみられた。点眼治療のみで網膜瘢痕病巣を残して治癒した。22歳時に再発した。右眼に強い前房炎症,硝子体混濁がみられ,眼底は透見困難であり,前房水のPCR検査にてHSVが検出され,HSVによるARNが疑われた。アシクロビル(ACV)点滴とプレドニゾロン(PSL)内服にて硝子体混濁が薄くなるとともに網膜動脈白鞘化を伴う網膜白色病変がみられ,その後,網膜瘢痕病巣を残して治癒した。31歳時に再発した。右眼に前房炎症,硝子体混濁,網膜血管白鞘化,耳側網膜に白色病変がみられた。前房水のPCR検査にてHSV-2が検出され,HSV-2によるARNと診断。ACV持続静注とPSL内服を開始し,網膜白色病変は徐々に消退したが,硝子体混濁の増悪がみられたため硝子体手術を施行した。術後2年が経過し,網膜剝離に至ることなく経過している。
結論:HSVによるARNは長期間の潜伏期間を経て再発することがあり,軽快後も慎重に経過観察する必要がある。
参考文献
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