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臨床報告
眼内レンズの回転を伴ったuveitis-glaucoma-hyphema(UGH)症候群の1例
著者: 井口聡一郎1 蓮見由紀子1 石戸岳仁1 野村英一1 西出忠之1 水木信久1
所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科眼科学教室
ページ範囲:P.1657 - P.1662
文献購入ページに移動症例:患者は68歳,男性。2009年に術中破囊したため,右IOL囊外固定を施行された。2011年頃からときどき右眼の霧視を自覚していた。2012年(術後3年目)に霧視のため前医を受診し,右眼に前眼部炎症および76mmHgと高眼圧を認め,横浜市立大学附属病院を紹介され受診した。初診時右視力(50cm手動弁),右眼圧14mmHg。前房内炎症細胞および微細な角膜後面沈着物を認め,隅角には虹彩前癒着および前房出血,眼底には硝子体出血がみられた。ぶどう膜炎の原因検索を行ったが,明らかな原因はなく,ぶどう膜炎および続発緑内障として加療を開始した。その後,高眼圧に対しては線維柱帯切除術を施行した。経過中に線維柱帯切除術施行以前の前眼部所見を確認している際に偶発的にIOLの動揺および回転を確認し,UGH症候群の診断に至った。再手術にてIOL抜去および囊外固定術を施行し,その後5年間出血や炎症などの再増悪なく経過している。
結語:本症例のように白内障術後患者における原因不明のぶどう膜炎および前房出血,高眼圧をきたす場合,鑑別疾患としてUGH症候群を挙げることが重要で,IOLの回転偏位の有無にも注目する必要があると考えられる。
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