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Book Review
角膜クリニック 第3版
著者: 澤充12
所属機関: 1日大 2公益財団法人 日本アイバンク協会
ページ範囲:P.1672 - P.1673
文献購入ページに移動 『角膜クリニック』は1990年に初版が上梓され,その後,増刷と改訂を重ね今回第3版が発刊され,角膜に関する金字塔と考えています。初版の序文にありますように難治性角膜疾患の治療の臨床をテーマとしての角膜専門外来が起点ですが,臨床医学は病態生理についての知見の集積と構築とがいずれの分野でも必須です。眼表面疾患は“Atlas der Spaltlampenmikroskopie des Lebenden Auges”(A. Vogt, 1842)にみられるように,1842年に角膜内皮像を含む角膜所見が得られていたと感じ入りました。一方で,角膜の透明性を含む病態生理はDM MauriceのLattice theoryなど1960年代の研究が現在の基盤になったと考えています。その後,本書初版にあるように細胞レベルでの病態研究,分子生物学,第2版では遺伝学的研究などの発展が加えられました。第3版の今回は角膜移植や再生医療に関する研究成果に関して改訂されました。
本書の特筆すべきことは上記のごとく,水川孝教授,眞鍋禮三教授,大鳥利文教授らの阪大医学部眼科学講座では単なる角膜の臨床ではなく,その基本となる病態生理の重要性を後進の方々が深く理解し,体得され,第3版では西田幸二教授を筆頭編集者として,51名の執筆者の内容をまとめられたことにあると思います。単著または2,3名での著作は全体を通しての整合性を図ることは容易ですが,多岐にわたる病態,臨床にわたるため多くの方に執筆を依頼せざるを得ず,その分,内容の整合性を図るのは大変であり,編集者のご苦労が多かったと思います。
本書の特筆すべきことは上記のごとく,水川孝教授,眞鍋禮三教授,大鳥利文教授らの阪大医学部眼科学講座では単なる角膜の臨床ではなく,その基本となる病態生理の重要性を後進の方々が深く理解し,体得され,第3版では西田幸二教授を筆頭編集者として,51名の執筆者の内容をまとめられたことにあると思います。単著または2,3名での著作は全体を通しての整合性を図ることは容易ですが,多岐にわたる病態,臨床にわたるため多くの方に執筆を依頼せざるを得ず,その分,内容の整合性を図るのは大変であり,編集者のご苦労が多かったと思います。
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