icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻2号

2021年02月発行

文献概要

臨床報告

原因不明の両眼球結膜浮腫をきっかけにクッシング症候群と診断された1例

著者: 渕野恭子1 石戸岳仁1 武田莉沙1 小島一樹1 井上克洋1

所属機関: 1藤沢市民病院眼科

ページ範囲:P.239 - P.243

文献購入ページに移動
要約 目的:遷延する原因不明の両眼球結膜浮腫および両眼球結膜充血からクッシング症候群と診断し,原疾患の治療により眼症状の改善が得られた1例について報告する。

症例:53歳,女性。

病歴:6か月前から持続する両眼球結膜浮腫,両眼球結膜充血を主訴に藤沢市民病院眼科を受診した。0.1%ベタメタゾン点眼を使用したが症状は改善しなかった。眼症状の発症と同時期から高血圧,顔面浮腫や両下腿浮腫もみられ胸腹部CT検査を施行したところ,左副腎腫瘍がみられた。血液検査で副腎皮質刺激ホルモンが低値,尿中コルチゾルが高値であり副腎性クッシング症候群と診断され,左副腎摘出術が施行された。手術後速やかな結膜浮腫,結膜充血の改善が得られた。

結論:眼症状を契機に最終的にクッシング症候群の診断に至った症例を経験した。局所の治療に反応せず遷延する両眼の眼球結膜浮腫,眼球結膜充血がみられた場合,全身疾患の1症状として眼症状が起きている可能性があるため他科と連携して精査を進めることが肝要であると考えられた。

参考文献

1)秦野 寛:身につく結膜疾患の診断と治療:25,金原出版.東京,2012
2)平田結喜緒・成瀬光栄:クッシング症候群診療マニュアル 改定第2版.38-40.診断と治療社.東京,2010
3)内田豊義:内分泌性浮腫.診断と治療104:1023,2016
4)別宮佳奈子・井上広基・岩崎 優・他:難治性浮腫を契機として発見された副腎性クッシング症候群の1例.Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal:92-95,2015
5)武山正行・藤原恭子・鈴木裕子・他:Cushing症候群にみられた緑内障症例.臨眼60:1279-1282,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら