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連載 眼科図譜
落屑症候群の囊内眼内レンズ脱臼例の超音波像
著者: 柊山剰1 上岡弥生1 森高ルミ1
所属機関: 1柊山医院眼科
ページ範囲:P.257 - P.260
文献購入ページに移動高齢者の診察において,虹彩の瞳孔縁にふけ様の白い物質が付着しているのを時折見かけることがある。散瞳してみると,あまり開きがよくないが,水晶体の中心にも瞳孔径の大きさほどの円形のふけ様物質,さらに周辺部には膜様にその物質が沈着しているのを認める。偽水晶体前囊落屑である。これらは房水の流路を取り囲む組織,すなわち,毛様体,チン小帯,水晶体,虹彩,角膜,隅角などに沈着するといわれるが,結膜や眼瞼皮膚など眼外にも存在することが証明されており,落屑症候群(pseudoexfoliation syndrome:PEX)と呼ばれる1)。毛様体やチン小帯は,散瞳しても通常の細隙灯顕微鏡検査では観察困難であるが,手術中に内視鏡を用いて観察し,偽落屑物質が多量に沈着しているのを認めたという報告がある2)。
さて,高齢者の白内障手術中の合併症の1つとして,後囊破損とともに,頻度はさほど多くはないがチン小帯断裂がある。これが,術中には起こらず,術後時間をかなり経てからも起こることがあり,その最大の原因がPEXであると報告されている3〜5)。眼内レンズ(intraocular lens:IOL)が水晶体囊内に収まっていれば,囊はチン小帯で毛様体から吊り下げられており,これが断裂するとIOLは囊ごと脱臼する。
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