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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
マイクロフックによる線維柱帯切開術の術後短期成績
著者: 知久喜明1 柿原伸次1 今井章1 榑沼大平1 若林真澄1 朱さゆり1 村田敏規1
所属機関: 1信州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.365 - P.369
文献購入ページに移動対象と方法:2019年1〜12月に初回の緑内障手術としてμLOTを行い,3か月以上の経過観察ができた患者76例89眼を対象に後ろ向き調査を行った。平均年齢は68.5±12.0歳であり,病型の内訳は,原発開放隅角緑内障32眼,原発閉塞隅角緑内障16眼,落屑緑内障17眼,その他の続発緑内障24眼であった。白内障同時手術は61眼であった。術前後の眼圧と点眼スコアの変化,術後合併症を検討した。
結果:手術前の平均眼圧(mmHg)は18.5±7.0であり,術後1,3,6か月ではそれぞれ11.5±3.9,10.7±3.3,11.2±4.4と術後有意に低下した(p<0.0001,Dunnett's test)。点眼スコアは,術前4.1±1.4であり,術後1,3,6か月ではそれぞれ3.4±1.3,3.3±1.2,3.2±1.0で,術前と比較して有意に低下した(p<0.05,Dunn's multiple comparison test)。術後合併症は,予防的アセタゾラミド投与下に術後1週間以内に眼圧が30mmHg以上となるような一過性高眼圧が7眼(7.9%)で認められた。また,2眼で前房出血の遷延により手術加療を要した。うち1眼は前房洗浄後に高眼圧をきたし濾過手術を要し,他方の1眼では,前房出血が硝子体腔に及び硝子体出血となり,早期の視力改善のために硝子体手術を施行した。
結論:μLOTは,短期的には有意に眼圧と点眼スコアを下げた。重篤な術後合併症の発症率は低かった。
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