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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
OCTセグメンテーションエラー検出にFollow-Upモードが有用であった緑内障例
著者: 平林博1 平林一貴2 若林真澄2 村田敏規2
所属機関: 1平林眼科医院 2信州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.500 - P.507
文献購入ページに移動症例:55歳,男性。2008年に正常眼圧緑内障を指摘され治療を開始した。2012年よりNIDEK RS3000 OCT,2017年より同advanceにて黄斑部網膜神経節細胞複合体(m-GCC)厚による緑内障の経過観察を開始した。
経過:右眼においてOCT検査開始時のベースラインBスキャンではSEは認めず,緑内障(G)チャート(上半円,下半円セクターm-GCC平均厚μm)はそれぞれ(66,73)であった。m-GCC厚は当初不変であったが,2017年FUモード検査を導入したところ,m-GCC厚がベースラインより2016年7月(+5,+0),10月(+8,+0),2017年7月(+11,+4)と改善を示していたが,視野はこの間変化はなかった。SEが疑われ,改善を示していた時点の網膜層のセグメンテーションを検討したところ,内網状層/内顆粒層ラインのSEが発見された。
結論:緑内障経過の評価を誤ると,その後の治療に大きな影響が出るためSEに対する認識は重要である。毎回検査時にSEの有無を検査することが重要であるが,毎回できない場合は,ベースラインとなる初回検査時には必ずSEがないことを確認し,FUモード上m-GCC厚の急激な変化に注意する。特に改善を認めた場合はSEを疑う必要があり,FUモードはSE発現の検索に有用である。
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