文献詳細
特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[2]
原著
強膜内固定術で使用する7.0mmレンズと6.0mmレンズの臨床結果の比較
著者: 水戸毅12 小林武史2 白石敦2
所属機関: 1金沢医科大学眼科学教室 2愛媛大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.514 - P.520
文献概要
対象と方法:愛媛大学医学部附属病院で2017年8月〜2019年7月に,同一術者がエタニティNX70(参天製薬)とアバンシィ(興和)を用いたフランジ法による強膜内固定術を施行し3か月以上経過観察ができた31例31眼を対象とし,眼内レンズの偏位・傾斜・前房深度・角膜内皮細胞減少率・手術時間・術後合併症などについて後ろ向きに検討した。
結果:対象患者の内訳はNX70群14眼,アバンシィ群17眼。NX70群とアバンシィ群の比較において術後のレンズの傾斜はそれぞれ7.18±2.71°,5.79±2.05°,偏心は0.43±0.25mm,0.42±0.15mm,前房深度は4.54±0.54mm,4.37±0.47mmといずれも有意差はなかった。角膜内皮細胞減少率は,NX70群で9.14±18.5%,アバンシィ群で3.57±24.0%と有意差はなかったが,手術時間(強膜内固定に要する時間のみを抽出)はNX70群で593.6±116.0秒,アバンシィ群で469.4±118.6秒と有意な差があった(p=0.007)。術後合併症としてNX70群で1眼,アバンシィ群で2眼の術後虹彩捕獲を認めた。また,支持部露出はNX70群で2眼,術後囊胞様黄斑浮腫はNX70群で1眼,アバンシィ群で2眼認められた。
結論:強膜内固定術において光学部径の異なる2種類の眼内レンズはいずれも固定位置は良好であり安全に手術を施行することができたが,一定の頻度で出現する術後合併症には注意が必要である。
参考文献
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