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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
経過観察中に退縮傾向がみられた両眼の硝子体血管系遺残の1例
著者: 中村彩1 宮城麻衣2 川野健一3 野々部典枝2
所属機関: 1津島市民病院眼科 2名古屋大学医学部附属病院眼科 3市立四日市病院眼科
ページ範囲:P.635 - P.639
文献購入ページに移動症例:在胎31週2日,体重1,175gで出生した女児。出生病院でPFVを指摘され,生後2か月時に名古屋大学医学部附属病院眼科を初診。
所見:右眼は水晶体後面に広範囲の線維血管組織による赤色混濁を認め,眼底は周辺部網膜のみ透見できた。左眼は水晶体後面中央に軽度白色混濁を認めたが,眼底は透見可能であった。両眼のPFVと診断し,右眼の水晶体切除術および前部硝子体切除術を予定したが,生後3か月時に水晶体後面の混濁が白色化して減少し,眼底の視認性が著明に改善したため手術を中止した。両眼とも徐々に視力が上昇した。しかし,生後1歳をすぎた頃から視力向上が乏しくなり,生後1歳9か月時に右眼の手術を施行した。
結論:水晶体後面に高度な混濁を伴うPFVでは,形態覚遮断弱視を防ぐため早期の手術を検討する。しかし,赤色混濁の場合は出生後でも自然退縮して視認性が改善し,外科的介入を延期できる可能性があるため,適切な評価を行い,手術時期を慎重に決定する必要がある。
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