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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻5号

2021年05月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

あけお眼科医院に車いすを用いて来院する患者の眼科臨床所見と全身疾患

著者: 明尾潔1 明尾庸子1 明尾慶一郎1 加藤帝子1

所属機関: 1あけお眼科医院

ページ範囲:P.662 - P.667

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要約 目的:車いすを用いてあけお眼科医院に来院する患者の視機能〔矯正視力(以下,視力),ハンフリー視野検査(HFA)〕を調べ,眼疾患と全身疾患について検討した結果の報告。

対象と方法:過去91か月間に受診した26症例を解析した。男性9例,女性17例であり,年齢は54〜94歳(平均77歳)であった。

結果:視力0.5以上の視力低下の著しくない例は右眼20例(83.3%),左眼14例(58.3%),HFAにおけるMD値についても,−15dB以上の視野障害の著しくない例は右眼12例(92.4%),左眼9例(69.3%)と視力低下の著明でない例と同様にほぼ80%であった。眼科疾患として白内障9例(34.6%),正常眼圧緑内障9例(34.6%),網膜疾患7例(26.9%)であった。全身疾患として脳出血,脳梗塞などの脳血管疾患が10例(38.5%),認知症,パーキンソン病などの脳神経疾患は8例(30.7%)と頭蓋内疾患が多かった。

結論:車いす使用の患者は視機能が温存され,頭蓋内疾患を伴う症例が多いため,HFA検査による精査のために来院を容易にさせるためにも,バリアフリーを施設に取り入れる必要があると思われた。

参考文献

1)明尾 潔・小田真弓・植田好美・他:眼科往診診療における眼疾患と全身疾患-老人ホームと在宅患者の比較-.臨眼62:457-460,2008
2)明尾 潔・佐賀正道・緋田芳樹・他:定型的網膜色素変性患者のQOLと身体障害者等級.眼科45:1313-1320,2003
3)清水朋美:視覚障がい者スポーツとロービジョンケアの接点.日本の眼科90:1135-1139,2019
4)藤田紀昭:新版障がい者スポーツ指導教本.10-13,ぎょうせい,東京,2016
5)明尾 潔・明尾庸子・平沼帝子・他:老人ホームにおける高齢者の視機能検査と知能検査との関係.臨眼64:303-306,2010
6)明尾 潔・明尾庸子・平沼帝子・他:5年以上長期経過観察が可能であった高齢者の視機能検査と知能検査の推移.臨眼66:1025-1028,2012
7)明尾 潔・明尾庸子・明尾慶一郎・他:あけお眼科医院における光干渉断層計導入に伴う電子カルテシステムの再構築.臨眼73:1341-1347,2019
8)明尾 潔・明尾庸子・明尾慶一郎・他:光干渉断層計とハンフリー視野計により頭蓋内疾患が疑われた運動麻痺を伴う髄膜腫の1例.臨眼74:459-468,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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