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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
外傷性涙小管断裂の手術成績
著者: 草野真央1 上松聖典1 北岡隆1
所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科眼科・視覚科学分野
ページ範囲:P.668 - P.672
文献購入ページに移動対象と方法:2012年4月〜2019年12月の間に,長崎大学病院眼科にて涙小管断裂と診断され,手術加療を行った9例9側(男性6例,女性3例,平均年齢32.6±29.5歳,平均経過観察期間3.6±3.5か月)を対象とした。各症例において,受傷原因,部位,受傷から手術までの期間,手術合併症,術後経過について診療録をもとに後ろ向きに調査した。涙小管再建術では全例で涙管チューブを留置した。
結果:受傷原因は鋭的外傷5側,鈍的外傷4側であった。受傷部位は,下涙小管断裂が6側,上涙小管断裂が2側,上下涙小管断裂が1側であった。受傷から手術までの期間は,受傷後24時間以内が4側,3日以内が4側,10日が1側であった。前医で眼瞼縫合後のものが3側あった。全身麻酔下で手術を施行したものが3側,局所麻酔が6側であった。涙小管および眼瞼の再建は全例で可能であった。術中・術後合併症は全例で認めなかった。チューブ抜去は術後1週間〜3か月で施行し,最終受診時には全例で流涙症状は改善した。
結論:当院での涙小管断裂に対する再建術の手術成績は良好であった。涙小管断裂は比較的緊急性があるとされているが,当院では早期に手術加療を施行できており,可能な限り早期の手術により良好な結果が得られると思われた。
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