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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻5号

2021年05月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

動的視野と静的視野による日本の視野等級,Functional Field Score classの比較

著者: 原田亮1 濱田悠太1 加茂純子2

所属機関: 1甲府共立診療所眼科 2甲府共立病院眼科

ページ範囲:P.677 - P.686

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要約 目的:2018年7月に改正された視覚障害認定基準の視野等級判定について,ゴールドマン視野計(GP)による等級と,自動視野計による両眼開放エスターマンテスト(ET),10-2プログラム(10-2)の等級を比較すること。Functional Field Score(FFS)classとの比較を行うこと。

対象と方法:対象は本研究について同意を得た88名で,男性52名,女性36名,平均年齢70.1±12.5歳であった(緑内障60例,糖尿病網膜症11例,網膜色素変性3例,網脈絡膜萎縮2例,同名半盲5例,その他7例)。GPⅢ/4e,Ⅰ/4e,Ⅰ/2eで,左右眼の測定を行い,動的視野等級,FFS classを求めた。OCTOPUS 900視野計で両眼開放ETと,10-2を左右眼で行い,静的視野等級を求めた。

結果:視野等級に該当した症例数は88例中39例であった。動的と静的が同じ等級であったのは18例(46.2%)であった。動的よりも静的のほうが視野等級は重いと判定された症例のうち,1級重かったのは13例(33.3%),2級重かったのは3例(7.7%),3級重かったのは2例(5.1%)であった。静的よりも動的が1級重かったのは3例(7.7%)であった。動的視野等級とFFS classのいずれかに該当したのは88例中30例であった。動的視野等級とFFS classが同じであったのは19例(63.3%),動的視野等級よりもFFS classが1重かったのは6例(20.0%),FFS classよりも動的視野等級が1重かったのは5例(16.7%)であった。

結論:日本の基準では,動的と静的で同じ等級に分類されたのは46.2%のみであった。動的視野等級とFFS classの比較では,判定が一致する症例は63.3%であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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