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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
術中光干渉断層計(OCT)併用で傍中心部角膜穿孔に層状角膜移植術を施行した1例
著者: 西山武孝1 辻中大生1 慶田真喜子1 丸岡真治1 緒方奈保子1
所属機関: 1奈良県立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.691 - P.695
文献購入ページに移動症例:70歳台の女性。40歳台から関節リウマチを発症し,当科へはドライアイ,上強膜炎で通院中であった。1週間前からの左眼の疼痛,急速な視力低下を主訴に20XX年2月Y日に当科を受診した。
所見:矯正視力は0.2まで低下しており,7時方向傍中心部に角膜穿孔と,虹彩の脱出を認めた。リウマチ性の傍中心部角膜穿孔と診断し,抗菌薬,ステロイド点眼にて保存的加療を試みたが,閉鎖しないため第7病日に術中OCT(EnFocus:ライカマイクロシステムズ製)を用いた保存角膜による層状角膜移植術を施行した。術中OCTによって,虹彩前癒着や虹彩嵌頓の状態,創部周辺角膜の厚み,さらには角膜縫合糸の深さを客観的に評価できた。また,患者視軸にかかりにくいよう移植角膜をデザインするうえでも有用であった。術後,矯正視力は0.5まで回復し,現在まで前房水の漏出はなく経過している。
結論:角膜穿孔症例に対して術中OCTを用いた角膜移植術を施行することで,術中の虹彩嵌頓の解除,移植角膜のデザイン,角膜厚の確認など,OCTによるメリットを経験することができた。
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