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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
硝子体注射による後囊破損から生じた外傷性白内障に対し水晶体再建術を施行した5例
著者: 竹下百合香1 中尾功1 江内田寛1
所属機関: 1佐賀大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.791 - P.796
文献購入ページに移動対象と方法:2015〜2019年の間に佐賀大学医学部附属病院眼科にて,抗VEGF薬硝子体注射後の外傷性白内障に対し水晶体再建術を施行した5例を後ろ向きに調査した。
結果:術前に明らかな後囊破損が確認できたのは3例で,他は術中に確認された。成熟白内障の1例は,hydrodissection直後に核落下を生じた。Hydrodissectionを省略した3例において核落下を生じた症例はなかった。核落下を認めた1例と前房への硝子体脱出を認めた2例は硝子体手術を併施した。術後は,硝子体手術を併施した3例のうち1例で増殖硝子体網膜症を生じ,2例は抗VEGF薬硝子体注射への反応が不良となり光線力学療法やトリアムシノロンアセトニド(TA)テノン囊下注射を併用した。硝子体手術を併施しなかった2例では,抗VEGF薬硝子体注射やTAテノン囊下注射を継続した。
結論:硝子体注射後の破囊例でも術中操作に留意すれば硝子体手術を併用せずに水晶体再建術が可能である。硝子体手術を併用した場合,術後経過やその後の原疾患の経過にも影響することがあり,可能な限り水晶体再建術のみで終了することが望ましい。
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