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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
術中虹彩緊張低下症候群の白内障手術後に残存した水晶体小片により角膜内皮の減少をきたした1例
著者: 落彩花1 昌原英隆1 矢田圭介1 永岡卓1 坂本理之1 前野貴俊1
所属機関: 1東邦大学医療センター佐倉病院眼科
ページ範囲:P.797 - P.802
文献購入ページに移動症例:85歳,男性。東邦大学医療センター佐倉病院(当院)にて左眼白内障手術を受けたが,術中にIFISを発症した難症例であった。術後早期は視力良好であったが,術後29日目に左眼視力低下を訴え近医を受診し,眼内炎の疑いで当院に紹介となった。
所見:左眼視力は(0.04)と低下し,前房内の残存水晶体とそれに隣接した限局性の角膜全層浮腫が認められた。左眼角膜内皮細胞数は術前2,641個/mm2から1,434個/mm2まで減少していた。術後40日目に再手術にて残存水晶体を摘出した。核片除去手術後86日目には左眼視力は(0.9),角膜浮腫は改善したが,角膜内皮細胞数は510個/mm2と著明に減少した。
結論:残存した水晶体が機械的接触をすることや,炎症を惹起し角膜へ波及することによって角膜内皮が減少するため,IFISを伴う白内障手術は,水晶体の一部が残存しないように注意しながら行う必要がある。また,たとえ小片であっても早急に除去するべきであると考えられた。
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