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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
アデノウイルス結膜炎の臨床症状の検討
著者: 大坪瑞季1 松澤亜紀子2 花田真由2 山田瑛子3 林泰博2 工藤昌之4 高木均1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学病院眼科 2川崎市立多摩病院眼科 3聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科 4工藤眼科クリニック
ページ範囲:P.833 - P.837
文献購入ページに移動対象と方法:2014〜2019年に都内のクリニックを受診し,Adv迅速診断キット陽性となった213例349眼を対象とした。臨床症状,使用薬剤,多発性角膜上皮下浸潤(MSI),結膜偽膜(PM)の発生について,後ろ向きに検討した。
結果:年別のAdv結膜炎症例数は,2014年18例28眼,2015年42例70眼,2016年49例79眼,2017年30例49眼,2018年42例71眼,2019年32例52眼であった。MSI発生率は,2014年は0%であったが全体では18.3%であった。PM発生率は,2014年14.3%,2015年12.9%と高率に認めたが,以後は一桁台で推移し,全体では6.6%であった。結膜炎両眼発症例では,MSI発生率が21.7%と片眼発症例よりも有意に多く(p=0.041),PM発生率も結膜炎両眼発症例では8.1%と有意に多かった(p=0.034)。MSI発生率は,フルオロメトロン使用群30.2%,ベタメタゾン使用群10.5%と,ベタメタゾン使用群でMSI発生率が有意に低い結果となった(p<0.001)。PM発生率は,フルオロメトロン使用群6.5%,ベタメタゾン使用群10.1%と有意差はなかった(p=0.397)。
結論:Adv結膜炎による合併症の発生は流行する型により大きく異なるが,両眼に結膜炎を生じている場合にはMSIの発生に注意が必要である。ただし,ステロイド点眼の使用に関しては,Adv結膜炎の流行している型や臨床症状を考慮し,慎重に検討すべきである。
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